旬の食材:フナ寿しとモロコを求めての旅

1996.01.10 4号 18面

知人からおみやげに長浜のフナ寿しをいただいたのがきっかけで、大のフナ寿しファンになった。臭くて顔をしかめる人がいるが、私と娘はまわりについたごはんの一粒まできれいに食べてしまう。

冬が旬であるフナ寿しは、春の4~5月頃の子を持ったメスの大きな源五郎ブナが材料。うろこ、えら、内臓をとり、卵の袋を傷つけずに洗って塩で一ヵ月漬ける。そして米を固めに炊いて、先に一ヵ月漬けたフナと一緒にして水をはり、重石をして四ヵ月くらいおくという。

夏の暑さを利用して醗酵させると絶妙な味に仕上がる。なれ寿しの代表だ。

冬に、次々と桶をあけて食べるが、各店で独特な製法があり少しずつ味が違っている。

私は、長浜の魚三の味が好きで、暮によく注文をする。平ブナの王様の源五郎ブナを見たくて夜遅く東京を発つ。新幹線を米原で下車、駅前のホテルに泊って、翌朝早く琵琶湖の北の方へ車を走らせた。湖は広く風は冷く寒いが、白鳥や鴨が羽をのばしている。竹生(ちくぶ)島の近くにはたくさんのエリ網がしかけられ、漁船が漁をしているのがよく見える。

10時近くに、尾上港には次々と船が入ってくるが、どの船も本モロコ、スゴモロコがピチピチはねている。

冬のモロコは正月料理に欠かせない。甘露煮や照り焼、から揚げなど、料理法もたくさんあり、この時期のカルシウム源になる。淡水の魚はすべて薬用になるが、フナ寿しは下痢止めに効果がある。

(自然食もてなし料理人・田村匡世)

●モロコのから揚げ ねぎあんかけ

モロコ300g、ねぎ中2本、塩少々、胡椒少々、生姜汁大1、酒大1、あんかけ(だし2カップ、酒大2、砂糖大1、醤油大1、塩少々、酢大1、水とき片栗粉)、強力粉、揚げ油。

(1)モロコは洗って水を切り酒と生姜汁をかけておく(2)ネギは細い千切りにし、水にさらして水を切っておく(3)モロコに軽く塩胡椒をし強力粉をつけあげる(4)あんを作る(5)器に盛りあんをかけ、さらしねぎをたっぷりのせる。

生姜(ショウガ)は冬の身体を温め、ネギは風邪予防になる。

●フナ寿しのブリュスケッター(4人前)

フナ寿し100g、みつば2~3本、バージンオリーブオイル大2、フランスパンうすめ8枚。

みつばはこまかく切り、フナ寿しとまぜオリーブ油を加えてパンにのせて焼く。

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