ザクロのふるさとイランから家庭料理「フェセンジャン」

1999.10.10 49号 16面

ザクロのふるさとザクロス山脈。標高5200メートルの山を配すこの山脈では、冬は寒く夏はかなりの猛暑になるが、この気候こそザクロの木にとって最適なのだ。ザクロは原産国イランから東西に伸びるザクロ街道をわたって中国、欧米へと広まった。

ザクロの漢名は「安石榴」。安石とは安息国(ペルシャ)を指す。そこに住むアーリア人は、ザクロを紀元前から生活に取り入れ、様々な薬効を発見した。ザクロス山脈に自生していたザクロを自分たちの庭に植え始め、天国の果実・神の贈り物として大切に育てた。

ペルシャの伝統的医学書(今日の西洋医学の原点とされている)にはザクロに(1)心臓・肝臓の回復(2)血液の浄化・循環の改善、余分な脂肪の除去(3)糖尿病の改善(4)鎮咳作用及びかゆみ止め(5)消化作用(6)全身的強壮作用(7)腎臓・尿管の浄化(8)抗インポテンツおよび強精作用(9)美顔(10)つわり防止(11)老人のボケ防止(12)更年期女性のホルモン調整‐‐などの働きがあると記されている。

血液の清浄という概念を重要視しているペルシャ医学では、ザクロは血液を浄化する最たる物として珍重され、薬材・食材として生活に取り入れられている。

ザクロ製品を扱う曙貿易(株)(東京都港区、03・3595・1644)のアハマッド・ソハンギャー社長は「日本では種子のまわりの果肉を食べるが、イランでは外側の厚い皮を除き、全部をジュースやジャム、ペーストにして食べたり、ドレッシング、スープ、煮込み料理にもトマトジュース代わりに頻繁に使います」という。上品な甘酸っぱさが料理をさらにおいしく香り豊かに仕上げる。

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