ダインドクター食医・寇&林第2回「高血圧」
生活の豊かさとともに、高血圧の人は年々増えています。春になると陽気は上にのぼります。身体という小宇宙も上がる陽気の影響を受け、のぼせ・めまい・頭痛・イライラ・胸痛などの症状が出やすくなります。また、血圧の変動も激しくなります。油断すると、脳梗塞・脳内出血・心筋梗塞等の病気に発展する恐ろしさもあります。高血圧は生活習慣病なので、中医学の知恵を生かして生活の部分から改善し治療していきましょう。
今回も薬膳料理・お茶・漢方薬を取り混ぜてご紹介しますので、自分のライフスタイルにあったものを選び、毎日に取り入れてみて下さい。
一、高血圧について中医学の考え方
周知の通り、高血圧は遺伝的素因が深く関係しております。両親とも血圧が高ければその子供の血圧も高くなりやすい。中医学ではこれを「先天の精が不足」といいます。その上、現代の食生活は過食ぎみで塩分の取り過ぎ、加えてストレスなどの問題もあります。
二、高血圧の対策
生活を改善することがまず基本。規則的な生活をしてストレスがたまらないようにする。また、適度な運動も必要。特に両親が高血圧の人は、ぜひこれを心がけて下さい。
食物の禁忌としては、辛いもの、脂っこいもの、漬物類、味噌は塩分を控えたものを、お酒も控えめに。
高血圧の人の薬膳
(1)のぼせタイプ(のぼせ、赤ら顔、両目の充血、めまい、怒りっぽい、不眠の人)
●セロリ水餃子●菊花茶●星火逍遥丸●瀉火補腎丸
「セロリ」はのぼせを鎮め、赤ら顔や目の充血などの熱を冷まし血圧を安定させる。薬理の研究でもセロリは確かに降血圧の働きを持つ。
「菊花」はめまいを改善する。
怒ると血圧は上がるが、血圧が上がったらもっと怒りっぽくなる。つまり悪循環だ。情緒を安定させる「星火逍遥丸」を用いると良い効果が現れる。
上半身がのぼせ、下半身がだるい場合は、「瀉火補腎丸」を用いると優れた効果が現れる。
(2)腎虚タイプ(疲れすい、持続力がない、腰痛、下肢の無力感、目が疲れやすく乾く・かすむ、夜間尿が多い、特に拡張期血圧が高くて下がりにくい人)
●枸杞(クコ)とクラゲの酢の物●西洋人参●杞菊地黄丸
高血圧の遺伝素因を中医学から見ると、「腎(生殖ホルモン系)」の不足からなるケースが多い。また、中高年ともなると生活も大変忙しくなり、それも腎を消耗させる。だから「クコ」や「山薬」(山芋)を使い腎を養う。クコは味も甘く食べやすい。眼の疲れにもよく効く。
このクコを中心とした「杞菊地黄丸」は高血圧、目のかすみ、視力減退などに優れた効果がある。だからコンピューターをよく使う現代の中で「杞菊地黄丸」はとても人気がある。
「西洋人参」は朝鮮人参と違い涼性(身体の熱を冷ます)の性質を持ち、元気をつけ、疲れを取る。動物実験などで大脳に対して鎮静作用を持つことが分かり、中国でブームとなっている。
(3) 血タイプ(顔が黒っぽい、頭痛、肩こり、高血圧の脈圧差が小さい、微小梗塞を起こしやすい、胸痛、動悸、脳動脈硬化症、狭心症を併発しやすい人)
●紅花スープ●沙棘●紅景天●冠元顆粒
「丹参」「紅花」は血の流れをサラサラにし、血管を拡張して血圧を安定させる。かつ頭痛、肩こりなどを取り除く。沙棘、紅景天は動脈硬化の血管を軟らかくして血管の弾力を徐々に回復する。「田七人参」「冠元顆粒」は脳梗塞、心筋梗塞を予防する。田七人参は金不換という異名をもつ。金で買えないほど良いものという意味で、現代文明病の高血圧、心脳疾患病に優れた効果を発揮する。
◆セロリ水餃子
<材料・4人分>
・セロリ……………2束
・豚上挽き肉…400グラム
・小麦粉………400グラム
・生姜…………400グラム
・長ネギ……………1本
・醤油…………大さじ4
・塩…………………4グラム
・ゴマ油………大さじ4
・卵…………………2個
<作り方>
(1)生姜はすり下ろす。
(2)長ネギはみじん切りに。
(3)セロリはみじん切りに。
(4)(1)(2)と豚上挽き肉、卵一個、醤油、塩を一緒に混ぜ合わせる。
(5)(4)に(3)とゴマ油を加えて混ぜる。
(6)小麦粉と卵一個を混ぜ、適量の水を加えながら耳たぶくらいの硬さになるまでよくこねる。
(7)(6)を棒状にして約一〇グラムの分量にちぎり分け、麺棒で直径七センチの円形に伸ばす。この真ん中に(5)を約二〇グラムずつのせ、ヒダをよせながら包み込む。
(8)鍋に適量の水を入れて強火で沸騰させ、(7)を入れて一五分間煮る。
◆クコとクラゲの酢の物
<材料・4人分>
・クラゲ………400グラム
・クコ………………20グラム
・酢……………大さじ4
・醤油…………大さじ2
・塩…………………2グラム
・砂糖…………大さじ2
・ゴマ油………大さじ3
<作り方>
(1)クコ二〇グラムを洗う。
(2)酢、醤油、塩、砂糖、ゴマ油を一緒に混ぜる。
(3)クラゲ四〇〇グラムを洗い、浸る程度の水を入れ約三時間おいた後、ザルに上げて水を切り、(1)と(2)を加えて混ぜ合わせる。