百歳への招待「長寿の源」食材を追う「クランベリー」

2000.06.10 57号 11面

クランベリーは北アメリカ原産のツツジ科の植物。主として北部の湿地帯に生育し、高さは一〇~二〇センチほどの草状低木で、茎はツル状、長さは数メートルで地上にはっている。

花は7月の初め、花茎の先に小さな紅色の四弁花を下向きにつけて鐘状となる。この開花直前のつぼみのついている姿がツル(英語でクレーン)の頭と首に似ているのでクランベリーと名付けられた。

9~10月の初めに果実は赤色の液果をつけて熟し、球形で直径は一~一・五センチほど。収穫は果実を積み重ねると下のものが、つぶれるので、畑に水を張り果実を水面に浮かべた方法で行っている。

クランベリーは先住民にとっては貴重な食べ物とされ、ヨーロッパからの移民は感謝祭に先住民から伝えられた七面鳥料理にクランベリーソースを添えるようになった。

この小果実は甘味が少なく酸味が強いため生食には適していない。しかし美しい赤色と爽やかな酸味を生かしてソースをはじめ、ジュース・ジャム・ゼリー・カクテルなどに利用されている。イギリスではローストビーフに添えられたり、鹿肉料理に欠かせないソースとして人気の高い調味料となっている。

最近、日本でもクランベリーの良さが認識され各種の製品が発売され、大手メーカーの参入もみられる。すでに大きな商材に成長したブルーベリーに続くものと期待されている。この新製品としてクランベリージュースをはじめ、ワイン・ビスケット・ヨーグルトなどもスーパーやコンビニでみられる。

クランベリーの長所は食品加工に適するばかりでなく、健康食品として薬効が次々と研究され、発表されている。すなわち、

(1)クランベリーにはビタミンC・食物繊維・ミネラル・ポリフェノールなどが多く含まれ、これらは生活習慣病を予防し健康に資するところ大とみられている。特徴ある赤い色はアントシアニンで心臓病やがんのリスクを減らし老化防止に役立つものと注目されている。またポリフェノールの一種であるタンニンも豊富で細菌付着を防止する効果大とみられている。

(2)細菌付着防止作用で歯周病や歯肉炎などの予防に有効であることが発表された。クランベリーの持つ特性でバイオフィルム生成抑制作用があり、歯周病の原因である歯垢の生成と熟成を阻害する。この性質を利用して新しいデンタルケア製品の誕生も近い。

(3)アメリカの先住民はクランベリーを薬用として重視していたが、次第にその薬効が証明されてきている。ハーバード大学医学部の臨床試験でクランベリージュースは尿路感染症の予防効果があることが判明。そのほかの大学でも同様の効果のあることを発表している。これは凝縮タンニンが有効成分として働いているものとされている。この赤い小果は食材として、また薬材として、二一世紀に大きな活躍が期待されよう。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら