ダインドクター食医・寇&林:第8回喘息の薬膳

2000.09.10 60号 16面

大気の汚染、生活習慣の変化とともに、気管支喘息はますます増えています。秋冬に入ると再発しやすく、呼吸困難にもつながる大変苦しいものです。発作の予防はアレルギー体質の改善からで、それには毎日の薬膳や漢方薬が最適です。

喘息になりやすい体質は、肺や気管支など呼吸器とともに、腎・脾など内分泌系、消化器系の働きも弱いことが多いのです。

中医学の考え方では、呼気は肺が司り、吸気は腎が司るとされています。これらの働きが乱れバランスが崩れると、呼気と吸気がうまく交換できずに喘息となるのです。その上に、気候の変化や食事の不養生及び情緒不安などがからんで喘息をこじらせることが少なくありません。

甘いもの、刺激があるもの、またとくに冷たい飲み物や食べ物は極力控えましょう。アレルギー源を避けるように心がけ、適当な運動をしましょう。

一、発作期

喘息、咳、痰が多い、息切れ、呼吸困難、腹が張る、食欲不振などの症状を呈します。

1、薬膳としては「貝母くらげ大根の炒め物」

2、中成薬としては「麻杏止咳錠」「平喘顆粒」

「貝母」はユリ科植物。貝母の鱗茎で痰を除き、喘息を抑えます。「大根」は気を降ろし、去痰、消化を促進し、呼吸困難、胸が苦しいといった症状に適している。食欲も増進します。

「麻黄」はマオウ科植物麻黄の草質茎で、鎮咳の働きが優れています。麻黄を主薬とする「麻杏止咳錠」は粘っこい痰を伴う咳や喘息に優れた効果を発揮します。「平喘顆粒」は、うすい痰の多い咳や呼吸困難に向きます。

二、寛鮮期

急性増悪期以外の時期。汗をかきやすい、風に当たるとすぐカゼをひく。身体がだるい、とくに腰・足に無力感がある、顔色はうす黒いか灰色、すぐにくたびれる‐‐などの症状を呈します。

1、薬膳としては「三仁黒豆粥」

2、健康茶としては「シベリア人参茶」

3、中成薬としては「双料参茸丸」

「クルミ」「アンズ」「ギンナン」「黒豆」は肺腎の機能を強化し、虚喘(体力の衰えからくる喘息)を改善していきます。これらを材料とした「三仁黒豆粥」は胃腸も整えます。「シベリア人参」は厳寒地域に生息し、虚弱体質を強化します。

「双料参茸丸」には朝鮮人参や冬虫夏草などが配合されており、体質を改善し、免疫機能を調整します。体質を改善すれば、喘息を根本的に治療できます。

食医・李時珍国研究所所長 寇華勝(こう・かしょう)

食医・林の秘密レシピ

三仁黒豆粥

<材料・4人分>

・ギンナン……………12グラム

・アンズ………………10グラム

・クルミ………………12グラム

・黒豆…………………15グラム

・モチ米…………200グラム

・氷砂糖………………30グラム

<作り方>

(1)ギンナン、アンズ、クルミを洗い、細かく切っておく。

(2)モチ米、黒豆を洗っておく。

(3)鍋に一・五リットル水を入れ、黒豆を加え一〇分くらい煮る。

(4)(3)にモチ米を加え、沸騰してから弱火で一五分くらい煮続ける。

(5)最後に(1)を加え、一〇分くらい煮る。

貝母くらげ大根の炒め物

<材料・4人分>

・貝母…………………9グラム

・くらげ………………30グラム

・大根……………200グラム

・トマト………………2個

・塩……………………適量

・サラダ油……………適量

・片栗粉…………大さじ2

・料理酒…………小さじ2

・しょう油………大さじ2

・コショウ……………少々

<作り方>

(1)大根を洗い、短冊に切っておく。

(2)貝母を洗っておく。

(3)くらげを洗い、切って皿に入れ、片栗粉、しょう油、料理酒を加えてよく混ぜ合わせておく。

(4)トマトを洗い、切っておく。

(5)中華鍋に油を熱し(1)を炒め、(2)を加え炒める。

(6)最後に(3)、塩・コショウを加えて炒める。

(1)を皿に移し、(4)をまわりに飾る。

食医・林建豫(りん・けんよ)=寇華勝氏夫人

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