百歳への招待「長寿の源」食材を追う:メグスリノキ

2001.03.10 67号 11面

メグスリノキはカエデ科に属する落葉喬木。チョウジャノキ(長者の木)、センリガンノキ(千里眼の木)などの別名がある。生育地は低山帯から海抜一〇〇〇メートル以上の高山の山麓・渓側・岩礫地などの林内に多い。分布は東北南部の山形・宮城の両県を北限にし、本州全域と四国・九州である。樹高は七~一二メートルぐらい、春若葉とともに葉脈から花梗を出し5月ごろ白色の小さな五弁花をつける。花後、果実を結ぶ。利用部位は樹皮と茎と葉。採取はほぼ周年にわたってできるが、適期は水あげの活発な6月から9月にかけて。

江戸時代から目の病気によく効く民間薬として知られ、徳川将軍家の植物園にも植えられていた。この煎液を飲むと、かすんでいた目がよくみえるようになるので「千里眼の木」の別名がつけられた。マスコミがとりあげてからブームが続いている。

成分はトリテルペンとロドデン・ドロールで主として樹皮、小枝、茎などに多く含まれている。しかし薬理作用はまだ十分に解明されているとはいいにくい。また肝臓病にも良い効果が伝えられている。漢方では肝臓と目は極めて密接な関係を持つとみている。ロドデン・ドロールが肝臓などに働きかけ、脂肪肝や目の状態を改善するものとみられる。医学の進んだ現在でも目に効果的な薬物は少なくメグスリノキは貴重である。

また眼圧の高まりとか、糖尿病、脳梗塞などの病状をみる場合、背景として動脈硬化や高脂血病などの症状を配慮する必要がある。メグスリノキは目の症状だけでなく動脈硬化の改善も期待される。

前述の二つの成分は白内障など目の老化を改善する働きがあるものと考えられている。白内障の進行による白濁を透明にまで回復するのは困難であるが、その進行を予防するのは価値あることだ。

メグスリノキは煎液を利用して目の飴が作られる。麦芽飴をベースに煎液ほかビタミン類を配合したもので、目の疲れを治すのに効果的とみられている。また葉・小枝・樹皮などを利用した薬酒も効用が期待される。非常に冴えたコハク色に仕上がり、ストレートにしてよく、ブレンドにしてもよい。

効用として配糖体を含み新陳代謝を促進する。強壮や疲労の回復にもよいが、病後の保健用に効く。本来の目的は眼病によいが肝炎などにも効果的、現代は目の酷使時代であり貴重な植物といえよう。

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