長寿の里探訪 沖縄・成人病はなぜ少ないのか

1996.04.10 7号 15面

長寿の秘訣は何といっても病気をしないことだ。それなら長寿県沖縄ははたして全国平均と比較して成人病発生率が低いのかどうかということを、今回はみていきたい。

日本人の死亡率は、胃がんと脳卒中の比率が高いことが国際的にも特徴とされている。まず沖縄の胃がん死亡であるが、ここ二〇年間男女とも全国平均の五割程度で推移している。ことに北大東村では二〇年間、胃がんによる死亡率はゼロ。これは大変なことだ。続いて脳卒中はどうかというと、やはり全国平均の三割程度となっている。

残る三大成人病のもう一つといえば心臓病。これについては、二〇年前は全国の五割程度の死亡率であり、心臓病の少ないことが沖縄長寿の大きな要因のひとつとされてきたが、全国平均の減少が進んでいるため、相対的に差は縮小してきてはいる。

いずれにしても、日本人の平均的な成人病発生率・死亡率と比べると、明らかに内容が異っており、この理由としては高たんぱく、少塩分、多量の緑黄食野菜摂取の伝統的な食生活習慣が効を奏しているとしか、言いようがない。食事がやはり病気を招く、寿命を決定するということが証明できる好例といえる。

逆に沖縄では今後、虚血性心疾患の心臓病対策を立てていく必要があるかもしれない。理由のひとつは脂肪摂取の多さ。また、血栓症を防ぐタウリン・エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸を含む魚介類の摂取が少ないからだ。

全国的に食と医学の情報が交差するようになった現在、北も南もより良いところはマネし合い勉強しあっていきたい。

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