おはしで防ぐ現代病:動脈硬化、水分補給が予防の一歩

2001.10.10 74号 14面

自覚症状のないままに進行し「サイレント・ディジーズ(沈黙の病い)」と呼ばれる動脈硬化。放置すると心臓病や脳卒中などの病気を招く。これからの寒い季節に向け、発症を防ぐ生活の注意点について大宮共立病院の板垣晃之副院長に聞いた。 高齢の人の多くはすでに動脈の粥状硬化があり、中には動脈が石灰化していることも少なくありません。そこで「動脈硬化の進行を食い止めること」に加え、「いかにして動脈硬化性疾患を発症させないか」に配慮した生活習慣も重要です。

脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化性疾患の危険因子を減らすためには、(1)脱水を防ぐ、(2)血圧が高ければその治療をする(しかし極端な血圧低下は危険)‐‐などに注意が必要。血液が血管の中をスムーズに流れるようにしておくことです。

血管が動脈硬化を起こしますと、血管の内側にある「内皮細胞」が機能しなくなります。

この内皮細胞からは、血液の流れをスムーズにする働きのある「プロスタサイクリン」という物質が出ています。一方、血液中(血小板)からは血液を固まらせようという「トロンボキサン」という物質が出ており、両者がバランスを取りながら、血液はうまく流れるしくみになっているのです。

しかし動脈硬化によって、こうしたバランスが崩れると、血液は固まりやすくなります。そこへもってきて脱水を起こせば、血液は濃くなりさらに固まりやすくなります。血栓などができる危険度も高まるのです。

寒くなり暖房を使う季節では、日常で注意すべき点がたくさんあります。

とくに最悪な習慣は、電気毛布にくるまって、アンカを抱え、部屋の暖房をつけたまま寝ている、などです。それこそ「身体の干物」をつくっているようなものです。血液は濃くなり、ますます固まりやすくなるのです。

脱水を予防するには、まず朝起きたら水分を補給する。暖房の効き過ぎで汗をかいているようでは、かなりの脱水です。喉がカラカラに乾燥しているなどもそうです。尿の色も濃くなります。こうしたことがなくても、明け方には脱水状態になっていることが多いのです。

のどが渇かなくとも、水分は定期的に飲む、一日の量を決めておくのも一法でしょう。トイレを気にせず、飲むことが脳軟化の予防にもなるのです。

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