百歳への招待「長寿の源」食材を追う:「大豆」
日本人にとって、最も身近、“古くて長いおつき合いの健康食品”大豆と豆腐。ところが調べてみれば、まだこんなに知らない効能が……。
(食品評論家・太木光一)
大豆は中国が原産。四〇〇〇年も前から五穀の一つとして重要視されてきた。
現在の主産地はアメリカ、ブラジル、中国、インドネシア、アルゼンチン、カナダなどと分散。国産大豆は品質面で優れているが生産量は少ない。
大豆の利用法は製油用と食品用に分かれるが、アメリカ産は主として製油用に、中国産と国産はすべて食品用となる。
この成分をみるとたんぱく質と脂肪の多いのが特徴。たんぱく質は平均三五%前後で必須アミノ酸のほか九~一〇種のアミノ酸を含み、いずれも良質。脂肪は一九%前後を含有、半乾性油の不飽和脂肪酸からできている。
「畑の肉」の別名を持ち、カルシウム、鉄などのミネラルや、亜鉛、銅などの微ミネラルにも恵まれている。
肉食をしなかった日本人が体力を維持出来たのは大豆と大豆製品をよく食べたからといわれている。価格も非常に安く、食べ方もいろいろある。そしておいしい。
大豆を原料とした加工品をみると、みそ、醤油、豆腐、油揚げ、がんもどき、凍豆腐、納豆、きな粉、ゆば、豆乳、豆もやし、大豆粉植物たんぱく(人工肉)など。
大豆油は日本で最も多く使われている植物油で天ぷら用やサラダ用に。脱脂した大豆は飼料原料として大量に使用されるばかりでなく、みそ、醤油などの醸造原料に。
アメリカでは大豆ミルク、大豆チーズ、大豆アイスクリームなどに。
搾油時にとれるレシチンは医薬用・工業用に、とくに脳内の神経伝達物質をつくり、高齢者の運動神経障害の改善に良いことも判明した。
大豆そのものの未熟なものは枝豆として利用、最近ではアメリカでも積極的に食べられている。
成熟した大豆は煮豆やいり豆として食べられている。
欠点として煮豆などは組織が堅く消化しにくい。火を充分に通すことが大切で、豆を洗ったら調味液にひたし四~五時間おく。ふっくらと味よく仕上がる。
長寿者の多い地域では大豆および大豆加工品の摂取量がたいへん多く、この点からみても優れた長寿食品と呼ぶことができよう。
最近では大豆に関する研究が次々と進み、単なる栄養食品の領域を越え、薬効の裏付けが行なわれている。それでもまだ未開の部分が多く将来はバラ色に輝くという。
・サポニン…本来は溶血作用を持つが、大豆サポニンはほとんどなく、肥満、老化、動脈硬化を抑える作用がみられる。
・オリゴ糖…腸内ビフィズス菌の増殖による整腸作用の促進。排便日の少ない女性のテストにおいて好結果をみせている。
・ステロール…大豆にみられるステロールは成人病予防に血中コレステロールを下げる作用がみられる。
・イソフラボノイド…自律神経の働きを良くして、発がんや動脈硬化を抑える作用がみられる‐‐などなど。
驚異の大豆の効用はさらに拡大が続く。