百歳への招待「長寿の源」食材を追う:シベリア人参

2002.10.10 86号 11面

原産地がシベリアのため、シベリア人参と名付けられた新しい食材(薬材)が、最近注目を集めるようになった。その薬理と薬能は多種多様で朝鮮人参を上回るとされる。一方、楊梅は中国の夏を代表する果物。両者とも薬効が非常に高く、多方面に活用されている。庶民性が高く、これからはポピュラーになると思われる。

(食品評論家・太木光一)

シベリア人参はウコギ科の植物で、朝鮮人参・西洋人参・田七人参と同じ仲間である。特に朝鮮人参は知名度が高く奈良時代に渡来し補薬の王として知られている。

この朝鮮人参に優る新食材が最近紹介され、注目を集めている、シベリア人参だ、エレウテロコックという植物の根である。旧ソ連科学アカデミーがシベリア地方に自生する薬用資源を調査中に発見した。

人参とよく似た成分が含まれているが、強壮効果の点では他の人参より優れていると発表され、世界的に注目された。一九六二年、旧ソ連保健省ではこの根から抽出したエキスを強壮剤として医薬品に認定した。

エレウテロコックは極寒の地・シベリアで生育し強い生命力がみられる。この分布はシベリアをはじめアムール河(黒竜江)流域。中国東北三省北部にもみられる。黒竜江流域でも良品が栽培されるようになったが、シベリア地域に自生するものが最も上質であるため、差別化の意味も含めてシベリア人参と呼ばれるようになった。ロシアの人は意外と漢方薬的なものを好み、筆者も数回の訪ロで人々の生活に密着していることが理解できた。

シベリア人参の特性は、朝鮮人参よりも環境適応源(アダプトゲン)作用の強い点にある。このため身体の適応能力を高め、保護する力が強い。またストレスに対する抵抗力も強大だ。しかも長期に服用しても副作用が全くなく安心。そして温性の強壮作用で、精神安定・鎮静・安眠・自律神経調整作用に優れており、まさに現代にピッタリだ。

旧ソ連で医薬品として承認された適応症は極めて広い範囲に及んでいる。すなわち神経症・自律神経異常緊張症・更年期障害・不眠症・無力症・衰弱状態などの患者に用いると良い治療結果がみられる。循環器疾患では低血圧・狭心症・高脂血症などに用いられている。全般的症状の著しい改善・衰弱の疲労感の消失が認められ、同時に血圧の正常化・冠血流循環の改善や血脂降下作用も優れている。何よりもよい点は副作用のない点だ。

日常生活において最もわかりやすい点は不眠症・冷え症・更年期障害・目の疲れ・体力の低下などの防止に良く、日常の愛用がすすめられる漢方薬材といえよう。

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