カツオブシその味な効能 ダイエットに好適の美容食

1996.06.10 9号 2面

カツオブシはなぜか“オカカ”(お母さん)と呼ばれる。

オフクロの味はカロリー計算されたものではないが、素材を活かし消化吸収と滋養に富んでいる。ひじきの煮つけや芋の煮っころがしなど、手に入りやすい旬の食材にカツオだしで味を含ませた料理は、昔から母親が体験に基づいて作り上げていったバランスのとれたものばかりだ。カツオブシ自体もまた、日本人が昔からの経験に基づいて作り上げた自然食品。そのうま味成分・イノシン酸がわれわれの味覚を育んだとも言われている。まさにカツオブシは日本人の母(オカカ)なのだ。

ところが最近、生活の便利化が進み「オフクロの味」から「オ」が消えた。何でも「袋」から出してチンすれば、立派な食事ができる世の中になったのだ。カツオブシも削り節パックとして袋詰めされるようになり、カンナのついた削り器は日常から姿を消した。いまどきの子供には、カツオブシを魚と思っていない子も多い。

しかし時代が変わって便利な袋生活になったいまでも、カツオブシが食卓から姿を消したわけではない。粉末、液体、最近では何とエアゾール缶入りのカツオだしも登場している。また、スープ、スパゲッティーやドレッシングなど、カツオブシの味を活かしたヘルシー和風料理が大ブーム。さらにそれが世界各国にもひろがったいま、日本の母の味・カツオブシは世界の味となりつつあるのだ。

食と健康の関係が見直され日本の伝統食が改めて注目されている。長寿に導く食事、病気を予防する食生活、頭を良くする食品など。しかしオフクロの味の効果は単に栄養摂取の面の問題にとどまらない。身体を養うための食べ物が、同時に心を満たすものにもなる。食べることへの積極性は生きる喜びの源の一つとなるのだ。

「オカカのおにぎりは昔よく食べたなぁ。カッカッカッと削ってさ」‐‐カツオブシの味は中高年にとってはオフクロの味。安くてありふれたものだから、猫マンマというイメージも強い一方で、あのおいしさは忘られぬ味であり続けている。

さらに意外なことにパンで育った若者からもオカカおにぎりの支持は熱い。新しいアイデアおむすびが続々登場するコンビニでも、オカカおにぎりは堂々の定番商品。「脂っこくなくておいしいし、タンパク質の塊だからダイエットには最適な美容食」ととくに女性陣からの支持が高まってきている。

エネルギーは一〇〇gあたり三五六キロカロリー、風乾物であるので全重量の八割近くがタンパク質であり、ビタミンB、Dを含んでいる。さらにカツオ節には三〇種類のアミノ酸が含まれている。その中には人体に必要な八つの必須アミノ酸もある。

“カツオブシ式ダイエット”なるダイエット法が登場する日は近い!?

カツオブシは食品の味を引き出す力をもっていることから、減塩の必要な食事療法患者には欠かせぬ食材として使われるようになった。減塩醤油や低塩梅干しなど、カツオブシの力を利用した減塩食品や調理法が次々に登場している。

また一方で、最近ではカツオブシをもとにした、副作用のない降圧剤づくりの研究が進められているという。「カツオブシの中に含まれているペプチドという物質に血圧を下げる効果があることが、ラットを使った実験からはっきりと確かめられています」と(株)相模中央化学研究所の矢澤一良氏。

私たちの長い食生活の歴史の中でずっと食べられてきたカツオブシが原料なだけに、副作用の心配がない薬を作ることができ、また、他の食品に添加したり、より効果的な食事療法も考え出せるのではと周囲の期待は高まっている。

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