ニュースかいせつ 狂牛病、ココアブーム、全酪連事件

1996.06.10 9号 8面

●狂牛病

脳ミソがスカスカのスポンジ状になる!?‐‐の報道がされたのは3月20日、英国政府諮問機関の牛海綿状脳症(別称「狂牛病」)に関する発表によるものだった。それを受けて日本の農林水産省は27日、英国および北アイルランドの畜産物(牛由来のソーセージ、ハム、ベーコン、加熱処理牛肉、牛臓器など)の輸入禁止を決定した。牛肉に対する消費者の不安は高まり、牛肉の消費量は減少。4月中旬には日本チェーンストア協会をはじめ、関連する各協会、各団体が懸命に国内流通牛の安全性をPRした。今後、豚、鶏、羊などを含む食肉の相場は激しく動くと予想される。牛に対する消費者のイメージはまだ完全回復とは言い難い。

●ココアブーム

「飲むだけで驚異の薬効・ココアで健康・長寿」と称されたココアは「豊富な食物繊維」ともてはやされ爆発的な人気となった。事の発端は昨年12月4日、日本テレビのみのもんた司会番組「おもいっきりテレビ」で取り上げられたことにある。なんと放映されたその日の夕方には量販店・CVSの売り場からココアが消えてしまうという珍現象まで起こった。

メーカーには通常の五~六倍の注文が殺到、応じ切れずに嬉しい悲鳴となった。消費者からメーカーへの直接問い合せも3月まで一日に一〇件程度続き、その内容は「どこで買えるのか」に集中していたという。売上げは各メーカーとも約二・五倍の伸びを記録し、「みのもんた様々」のホットな冬となった。

●全酪連事件

全国酪農業協同組合連合会(全酪連)の長岡工場でクリーム、脱脂粉乳、水を加えて調整した加工乳を無調整の「牛乳」として販売していたことが3月28日発覚し、乳業界の一大不祥事となった。乳業界は「牛乳に対する消費者の信頼が失われ、乳業界不信が起こる可能性がある」と深刻だ。しかし消費者側は冷静な対応で、大手乳業メーカーへのこの件についての問い合わせはなく“当事者”だけの不祥事と理解された事件となった。

3月10日から「操業禁止」の行政処分を受けていた全酪連長岡工場は4月17日から操業を再開。続き宮城工場も19日から再開された。

不正表示牛乳を製造したことが一番問題であるが、真相解明に関する対応の悪さもいただけない。操業は再開されたが消えない汚点を残した結果となった。

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