百歳への招待「長寿の源」食材を追う:アーモンド

2003.03.10 91号 11面

アーモンドの歴史は古く、味が良いので“ナッツの女王”とも呼ばれる。ヨーロッパから米大陸に伝えられ大成長をみた。やや高級食として自然食・美容食視されている。カシューナッツは熱帯圏が特産。最近は中国での生産が急増している。口にソフトでつまみに人気だが、利尿・虫歯・糖尿病・高血圧に良い。(食品評論家・太木光一)

アーモンドは古代史の発祥とともにあったといわれ、四〇〇〇年以上の歴史を持っている。ヨルダンでは既に栽培されていた記録がある。その後、イスラエル・エジプト・ローマへと移入され、地中海沿岸で広く栽培されるようになった。現在でもシシリー島は名産地だ。その後フランスに伝わり“ナッツの女王”として親しまれてきた。

多くの食品が米大陸発見後、米大陸からヨーロッパにもたらされたが、アーモンドは逆にヨーロッパから米国に伝えられた。カリフォルニア州のみが栽培適地として成功、米国生産量の九八%を占めている。

アーモンドはバラ科サクラ属の落葉喬木で梅・桃・桜と近緑。花は桃の花と区別がつかないほど似ており、枝いっぱいにつけた花は桜のようでもある。アーモンドが収穫されるまでには、普通四~五年かかり一〇年で標準収穫量となる。それ以降七〇~八〇年間収穫される。

アーモンドの木にはスイート種とビター(辛)種があり、両者は見ただけでは区別できない。ヨーロッパはビター種が多い。青酸を含み食べられないため、アーモンドオイルやエッセンスだけを採取している。アメリカ産はほとんどスイート種で加工適性に優れ、さまざまな形態に加工される。特にアーモンドの砂糖がけのドラジェは儀式に欠かせないものとされる。バラとダイヤモンドとドラジェの贈り物にはお返しするものがないといわれているほどだ。

アーモンドの栄養価(一〇〇グラム当たり)をみてみると、水分四・七%、タンパク質一八・六%、脂質五四・二%、糖質一六・九%、繊維二・六%、灰分三・〇%。無機質ではカルシウム二三〇ミリグラム、ナトリウム四ミリグラム、リン五〇〇ミリグラム、鉄分四・七ミリグラム。ビタミンではB1〇・二四ミリグラム、B2〇・九二ミリグラム、ナイアシン三・五ミリグラムで、カロリーは五九八キロカロリー。タンパク質・脂肪・カルシウム・リン・鉄分・ビタミンなどがバランスよく含まれているため、完全食品ともいわれている。アルカリ性食品で、美容食としても優れ、女性のファンも多くみられる。

アーモンドの保存については一般のナッツ類と同様で湿気は厳禁。このため包装も缶入りもしくは厚手材質のポリ袋が使用されている。一度開封したものは冷蔵庫保管が望ましい。ケーキづくりや調理に当たって、から煎りしてパリッとさせると味も一段と向上する。

アーモンドは天産品のため豊凶差によって価格が大きく変動する。凶作時にはヨーロッパ筋の思惑買いで急騰する場合もある。消費面では価格的にやや高く、ぜいたく品とされ、景気による消費の減少もみられる。しかし自然食・美容食として固定ファンは多い。

アーモンドはオールシーズンの強みを持ち、酒のつまみ用に人気が高い。またスライス・ダイス・細切り・粉末にして料理およびケーキ材料となる。またアーモンドエッセンスは洋菓子・中華料理などにも利用されている。

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