だから素敵! あの人のヘルシートーク:女優・司葉子さん

2003.07.10 95号 4面

昭和の巨匠たちと数々の名画を残してきた女優・司葉子さん。今年9月に上映される映画『福耳』でも、マドンナ役として、麗しい円熟の演技を見せている。凛として華やかな存在感、日本映画界きってのクール&ビューティーに、その美と健康の秘訣を聞いた。

「私の食生活の基本は、朝、四季折々のジュースを飲むこと。それに、家でとれた野菜、トーストにジャム、果物、紅茶をいただきます。特にこだわりはないですが、以前メイ牛山先生に教えていただいた『四季に添った食べ方をする』ことは、常に意識しています。

果物も欠かしません。うちでは主人が野菜嫌いなので、かわりに果物を毎晩たくさん食べるのです。私の生まれた鳥取県は、ビタミンC県といわれるほど、果物の名産地でね、いまはビワ、これから西瓜、梨、ブドウ、柿…と、ありがたいことに次々と送ってくださるの。家の庭のアンズもそろそろなる頃。三二年前、子供が産まれたときの記念樹で、毎年たくさんの実をつけるんですよ」。

自然豊かな鳥取に育ち、植物が大好きという司さん。園芸の趣味が高じ、伊豆修善寺にあるサイクルスポーツセンターの一角には「司葉子ガーデン」というバラ園もある。

「一万本くらいのバラがあって珍しいものも多いんです。そこで作ったバラジャムがまた最高なの。

家庭菜園も楽しんでいます。いまはレタス二種類とトマト・キュウリ・ナスなど、毎朝とれたてをいただけるの。あとルッコラや豆苗、三ツ葉や大葉などのツマもの野菜にも不自由しないわね。楽しいし、どんどん大きくなるので追っかけられてとっています。

健康法は…お仕事ですね。仕事に向かって、エネルギーを燃やして張り切っていると、身も心もいい状態をキープできるんです」。

最近の活動は舞台中心で、映画は十数年ぶり。

「舞台と映画は大きく違うものです。映画は表面的な状態のみを撮りますが、舞台では表も裏も横も上も全部見せますから、動きが違う。また映画の場合は、目の動きなど細かい表情が重要。こう比較しながら演ずるのがまた楽しい。私はスタートが映画でしたから、やはり映画が大好きですね」。

映画でみせた司さんのダンスシーンは、ダンス専門誌などから賞賛されている。

「踊りは得意な方ではないんです。若い頃忙し過ぎて、遊びのようなこと、まったく経験できなかったのね(笑)。ダンス同好会に入っても、なかなか上達せず…。ところが仕事となるとそうはいかない! お相手の田中邦衛さん・宮藤官九郎さんら皆さんと楽しく競い合って練習しました。

共演者には懐かしい顔ぶれが多く、さらに新旧が入り混じってとても楽しかったです。私たちは若い人から新しい刺激を受け、若い人たちはベテランの技術を学び…。話自体も、インターネットや高齢者住宅、若者の雇用など、社会背景が反映されとても興味深いもの。いろいろな世代の方に見て楽しんでいただける映画だと思います」。

多忙な女優業のほか、東京恵比寿ロータリークラブに所属し、いろいろな奉仕活動にも力を入れている。

「具体的には、薬物撲滅や環境保全、海外奨学生の受け入れ活動などをしています。今年4月には、中川雅治環境事務次官と環境カウンセラーの崎田裕子さんをお呼びして、次代を担う中・高生とともに環境問題を考えるフォーラムを開催しました。エベレストのゴミ問題について登山家・野口健さんとの現地中継も企画していましたが、悪天候でつながらず、残念でした。私はこのフォーラムの地区の広報委員長を務めました。いつもは自分を売っていただく立場なのですが、逆に何かを売る立場になり、仕掛け人のご苦労がよく分かりました。主人のお手伝いで全国を回ったりもします。お互い忙しくていつも一緒にはいられませんが、だから新鮮でいいのかもしれませんね(笑)」。

◆大人のファンタスティック・コメディー決定版 映画『福耳』

『福耳』は、シニア向けマンションを舞台に繰り広げられる奇想天外な人情喜劇。愛する人に思いを残したまま、この世を去った老人が、幽霊となって若い男の身体にとり憑き、彼女への熱い思いを遂げようとする。一方、とり憑かれた若者は、物事をすぐあきらめてしまうフリーターだったが、老人から「生きていくってことは見えないものを信じる勇気が必要」と教えられ、新しい生きがいを見つけ働き始める。1つの身体に同居する、世代も考え方も違う2つの人格の葛藤が見物。

主演は、脚本家・演出家・音楽家などマルチに活躍中の宮藤官九郎。彼にとり憑く幽霊役に田中邦衛。またマドンナ役には司葉子と、朝の連続テレビ小説「さくら」主演の高野志穂。そのほか宝田明・千石規子・多々良純・谷啓・坂上二郎・弓恵子・横山通乃ら、日本映画を代表する名優たちが滋味溢れる熱演を披露している。

瀧川治水監督はじめ精鋭スタッフによる、これまでの日本映画にない映像感覚溢れる大人のファンタスティック・コメディーだ。

制作=(株)エックスヴィン、特別協力=NPO日本高齢・退職者福祉推進協会。

公式HP=www.fukumimi.jp

◆プロフィル

つかさ・ようこ 1934年鳥取県出身。54年3月共立女子短大修了、4月大阪毎日放送局入社、7月東宝(株)入社。雑誌のカバーガールをきっかけにスカウトされ、54年「君死に給うことなかれ」でデビュー。スター女優となり数多くの名作に出演。69年現衆議院議員相沢英之氏と結婚、99年5月(財)日本大正村の村長に就任、現在は主に舞台公演で活躍中。ブルー・リボン主演女優賞ほか映画賞多数受賞。出演代表映画=「秋日和」小津安二郎監督、「用心棒」黒澤明監督、「紀ノ川」中村登監督など。舞台=「華岡青洲の妻」「紀ノ川」「和の宮様御留」「一弦の琴」「女ざかり」など。

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