自由時間術:タッティング・レースに魅せられ42年、森永製菓元会長・高木貞男氏
タティングは、一六~一七世紀頃ヨーロッパの宮廷貴婦人の間で流行した華やかなレース。伝統あるこの編み物を、森永製菓(株)元会長の高木貞男さんは、四二年間愛好し続けている。
「当時中学生だった娘に手ほどきを受け、始めました。いまは毎日三~四時間編みます。二〇分編んでは休み、休むとまた編みたくなる。夜中突然アイデアが浮かんで、編み始めることも」。小さな道具、シャトル(糸巻き)とレース糸さえあれば、電車や飛行機の中など、どこでもできる手軽さも魅力だという。
「もともとは漁師の魚網作りを応用したものなんです。糸を指にかけ、一方の手でシャトルをくぐらせ結び目を作る、その繰り返し。動作の連続によって生まれるモチーフをつないで、作品に仕上げます」。話しながらも、正確に手を動かし続ける高木さん。
「半分ほど出来てくると、完成像をイメージします。夢を描くことが励みになる。根気はあるけど、短気なんですよ、私は。ゴルフでも失敗するとクラブを放っちゃう(笑)。ところがタティングは、短気向き。釣りと同じでね。ちょっとやっては、できたかな? と見直すものだから、誤りを早期発見・修正できて、結果的に目がそろうんです」。
指先を動かすことは、脳の活性化・老化防止にもいいという。あなたもトライしてみては? 初心者には、日本ヴォーグ社の講習や書籍がおすすめ(問い合わせ=電話03・5261・5089)。高木さんが名誉会長を務める日本タティング協会は、五年前に設立。現在四五〇人を超える会員がいる(ボランティア活動のため問い合わせは、あて名を明記し八〇円切手を貼った返信用封筒を同封の上、日本タティング協会 〒164‐0003 東中野郵便局留め、まで郵送)。