ヘルシートーク:女優・広末涼子さん

2008.09.10 158号 05面

 今月13日から全国公開の「おくりびと」。映画関係者から早くも「今年1番の映画!」との評判が高いこの作品で、主人公・本木雅弘さん演じる新人納棺師の妻となった広末涼子さん。1年ぶりのロケ地、山形で映画の思い出を語ってもらった。

 ●ぽかぽか陽気の最上川の思い出

 山形には昨年3月、2週間くらい、往復しながら滞在しました。四国の高知の出身なので、同じ田舎の香りというか、空の広さだったり大地を感じられる雰囲気に、すごくほっとして安心して。ぽかぽか陽気の日に、歩いて最上川のほうまでお散歩したり。最上川って小学校のころの歌とか、地理の時間の知識しかなかったけれど、実際に目にして本当に美しい場所でした。撮影で鳥海山が見えた日もありました。とても気持ち良かったです

 おいしいものにもたくさん出会えました。玉こんにゃくに白身のお魚。朝食にいただいた「だし」も大好きになりました。食事を出してくださる方々も、皆さん、おおらかで優しいんですよ。自然の豊かな土地の方はおもてなしが上手ですね。

 「だし」は、きゅうりやおなすなどたくさんのお野菜を刻んであるお総菜。東京に帰ってからも、大きなデパートだと山形物産コーナーがあって、わぁ懐かしい! とたまに購入し、いただいています。

 ●夫の仕事と夫婦のこれから

 映画は、これから未来をつくっていく夫婦のお話です。夫がオーケストラのチェロ奏者をやめて新しい仕事に就く、そういう転換期にあたっての夫婦の再生の物語ともいえます。

 夫婦において、大黒柱のダンナさんのお仕事というのは非常に重要ですね。お仕事にはもちろん経済的な面もあるけれど、やはり男の人にはいくつになっても夢を追いかけていたい部分がある。理想やいろんな信念もあると思う。それを現実の中で受けとめて支えて、つつみ込んでいくというのが妻の役目かなって。実際、先を見越しているのも女の人だと思う。

 とはいえ、まだまだ未熟な2人、物語の中盤、未熟な妻は自分の知らないところで夫がいろんなことを進めていたことにショックを受け、ひどいことを言います。とても難しいシーンで、悩みながら演じました。でも1番身近にいる人が1番厳しいことを言わなくてはいけない。そこにはもっと近づきたいという思いもある。それがなくては映画が嘘になる……監督や本木さんと話し合って、芝居が決定しました。この場面があったから、夫の“大ちゃん”ももっと深く人生を考えた。彼女も未来を考えた。そんな展開になりました。

 ●本木さんはお茶目です

 本木さんはとても丁寧にお芝居をつくっていかれる方で、それを一緒に共有できるよう相談もしてくれます。ひっぱっていってもらいました。毎日何時間もチェロや納棺師の仕事の練習をされていても、その緊張感を相手におしつけない。何事も手抜きをされない方なんだなと。その後もチェロを続けてらっしゃるそうですよ。そうしたピュアさ、繊細さ、クールでかっこいい部分の一方、人として優しくお茶目なところも持ちあわせている。それが“大ちゃん”のドジなところ、情けないところに、自然に反映されている。映像にそんな感じが出ていたら、妻役として本当に嬉しいです(笑)。

 ○プロフィール

 ひろすえ・りょうこ

 1980年高知県生まれ。94年、第1回クレアラシル「ぴかぴかフェイスコンテスト」グランプリを獲得し、同CMにてデビュー。映画・ドラマ・CM・舞台など多岐にわたって活躍。00年には『鉄道員(ぽっぽや)』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞、『秘密』で優秀主演女優賞をW受賞。09年には映画『GOEMON』が公開予定。公式モバイルサイトhttp://flamme-co.mobi/

 ◆『おくりびと』9月13日(土)全国公開 松竹 www.okuribito.jp

 監督/滝田洋二郎 脚本/小山薫堂 音楽/久石譲 キャスト/本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、杉本哲太、峰岸徹、山田辰夫、橘ユキコ、吉行和子、笹野高史

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