漢方ダイアリー:から咳が出て喉が痛みます
●10月10日(土)
近頃、から咳が出て喉もいがいがしている。風邪? もしかして新型インフルエンザ?
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◆秋は「燥(そう)」の季節
秋は、中医学でいうところの「燥(そう)」の季節で、乾燥(燥邪〈そうじゃ〉)によって引き起こされる症状が多くなってきます。燥邪の影響を特に受けやすいのは、五臓でいう「肺」とつながりの深い喉や鼻、気管支などの呼吸器系です。
肺は水(すい、血液・体液)によって潤され、呼吸をし、ウイルスや雑菌などから身体を防御する働きをしています。秋から冬にかけて乾燥する季節には、肺の潤いが不足しやすくなります。よくある症状としては、から咳や喉の渇き、喉がいがらっぽくなる、声のかすれ、ほてり、髪や皮膚の乾燥などです。肺の潤いが不足すると鼻や喉の粘膜が乾燥し、防御力も低下するので、風邪やインフルエンザにも注意が必要になってきます。
◆梨など、潤いをもたらす食材を
肺に潤いをもたらす食材としては、梨、百合根、れんこん、銀杏、杏仁(あんにん)がおすすめです。これらの食材は咳を止める作用もあるとされています。
漢方薬では、肺の潤いを補い、気管支の炎症を鎮める作用を持つ生薬「麦門冬(ばくもんどう)」が配合された「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」や、麦門冬に加えて気を補い体力をつける朝鮮人参や潤いを守る五味子(ごみし)が加わった「生脈散(しょうみゃくさん)」(販売名『麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)』)が良く使われます。
◆菊花茶、緑茶、板藍茶を
お薦めのお茶は、菊花茶、緑茶、陳皮(ちんぴ、みかんの皮を干したもの)、板藍根(ばんらんこん)などです。板藍根はホソバタイセイという植物の根で、中国ではインフルエンザや風邪の流行る季節にうがいに使用したり、お茶として飲むポピュラーなものです。
夏の終わりから始まった新型インフルエンザの流行は、空気が乾燥する秋以降に拡大するのではと心配されています。
漢方の知恵で肺の潤いを守りながら、乾燥する季節も健やかに過ごしたいものですね。
●東洋エクササイズ:「肺」の機能を整えるツボ
◇合谷(ごうこく)
手の甲、親指と人差し指のまたのあいだのところ。肺の機能を整えて熱を冷まします。
◇魚際(ぎょさい)
親指のつけ根で、手のひらと手の甲の境目のすこしくぼんだところ。のどの痛みをやわらげます。