ヘルシートーク:アメニティアドバイザー・近藤典子さん

2010.06.10 179号 05面
「枝豆のクリーミーそうめん」

「枝豆のクリーミーそうめん」

 暮らしの達人、収納のカリスマとして知られる近藤典子さんだが、実は料理上手としても評判が高い。自身の日常生活に根ざしたキッチン回りのアイデアは、どれもなるほど!と思わず膝を打つものばかり。料理がラクに楽しくなる方法をいろいろ聞きました。

 ◆食材を買い込んだらあの手この手で使い切る

 私は料理研究家ではないのですが、実はレシピ本を出したり、雑誌で料理の連載をしています。自宅で収納や掃除の撮影をしている合い間に、キッチンにあるものでパパッと料理を作って、スタッフにふるまっていたら、それが口コミで伝わって、レシピ本を出しませんかということに。だから本当に普段作っている、ごく普通の食材を使った簡単料理ばかりなんです。

 野菜は1個買いすると割高になるので、やはりある程度の個数が入った袋買いをします。でも使い切らずに腐らせてしまうなんて絶対しません。農家の方に申しわけないもの。

 たとえば、万能ねぎは細かく刻んで小分けにし、ラップに包んで冷凍します。しょうがも残ったら、かたまりのまま冷凍しておけば、そのままシャリシャリきれいにすりおろせるんですよ。すぐ使わないトマトは、湯がいて皮をむいてホールにしたり、あるいはミキサーにかけてピュレ状にしておけば、次の日トマトスープが作れます。卵も10個買ったら、4個はその日のうちにゆで卵にします。そうすれば、ドレッシングやタルタルソースが作れるでしょう。

 食材を買い込んだら、とにかくあの手この手できちんと使い切る。ちょっとした下ごしらえをすれば、翌日以降もおいしくいただけますよ。

 ◆家事が面倒くさいからこそいろんなアイデアがひらめく

 みなさん、私のことを暮らしのプロと言ってくださいますが、本当は誰よりも面倒くさがりで経済観念がないんです。主人は私のこと「ワク」って呼ぶんですよ。ザルはまだ網の目に引っかかるけど、君は(経済観念が)すっぽり抜けてるからって。そんな私がどうして家事のアドバイスをしているかというと、暮らしの「困った」をほっとかないからなんです。面倒くさいからこそ、それを解決しようと思ってアイデアがひらめくんです。

 たとえば、知り合いが釣ってきた魚をくれた時、嬉しいけどさばくの面倒くさい、どうしよう…と思って、ふっと飲料ボトルのアルミキャップを見たら、魚のウロコ取りに最適!とひらめいたり。縁を使ってウロコをこそげ取れば、周りに飛び散ることなく、キャップの中におもしろいようにウロコが溜まるんです。

 荷物の梱包に使う硬くて平たいPPバンド(ポリプロピレン製バンド)で、小あじや小いわしの3枚おろしが簡単にできるといったら驚きますか? バンドを10~15cmぐらいに切って両端をつかみ、エラぶたの切れ目に引っかけて尾に向かってスッと引くと、身が骨からきれいに離れます!

 タルタルソースに使うゆで卵を細かくするの、大変ですよね。そんな時はオクラが入ってた目の細かいネットに卵を入れて、ぎゅーっと絞り出してみて。あっという間にみじん切りができますよ。

 ◆料理を作って食べるって人との絆を深める一番の方法

 人との絆を深めるのは、やっぱり食事が一番だと思います。誰かと仲良くなりたいと思ったら、「今度食事しましょう」とか「お茶しましょう」って言うでしょう。

 私は友人や仕事関係の人たちをよく自宅に招いてホームパーティーをするんですけど、料理が好きというより、人とより親密になりたいからおもてなしをするんです。いつもお料理は自分で作るのですが、気がつけば10種類くらいのメニューを作っています。でも簡単なものばかりで、たとえば3分でできる豚肉料理とかね。フライパンで焼くだけ。塩とにんにくとオリーブオイルがあれば、おいしく出来上がるんです。え~ってゲストに驚かれますけど(笑)。

 姪や甥がまだ小さかった頃、毎年夏休みに、友人知人の子どもと合わせて10人ぐらいを預かって、うちで1泊2日の合宿をしていました。みんなをスーパーに連れて行って、野菜の選び方を教えたり、カレーやシチューをわいわい作って、ベランダにテント張って大盛り上がりで食べて。そうしたら、みんな成長して野菜好き、料理好きになりました。

 楽しいシチュエーションをどう作るかとか、家事をおもしろくする工夫ってとても大切だと思います。収納も料理も、私のキーワードは「遊び感覚」。遊びながら楽しくやれば、家事って本当におもしろいですよ!

 ●プロフィール

 こんどう・のりこ 1957年神戸生まれの大阪育ち。2000軒以上の暮らしの悩みを解決し、その経験から生み出された近藤流わかりやすい暮らし提案が好評。メディアや講演会、企業との商品開発の他、最近は韓国のマンションのプロデュースも。自ら講師を務める「近藤典子の暮らしアカデミー」にも力を注ぎ、2011年4月から小学校の家庭科「新しい家庭5・6」(東京書籍)にも登場。

 ◆枝豆のクリーミーそうめん

 つぶした枝豆とまろやかな生クリームで、たちまちフレンチテイストに。いつものそうめんの食べ方に飽きたらいかが。そうめんはサラダスピナーを使えば、あっという間に水切り可能。

 (『近藤典子の十八番(おはこ)レシピ』(グラフ社)より)

 〈材料(2人分)〉

 ・そうめん…………………2束

 ・枝豆(冷凍)……………100g(正味)

 ・生クリーム………………200ml

 ・麺つゆ(2倍濃縮)……大さじ1/2

 ・青じそ……………………2枚

 ・イクラ……………………適量

 〈作り方〉

 (1)枝豆はゆでて解凍し、さやと薄皮を除く。

 (2)ミキサーに枝豆、生クリーム、麺つゆを入れ、なめらかになるまで撹拌する。

 (3)そうめんを袋の表示通りにゆで、(2)と一緒にボウルに入れてよくあえる。

 (4)器に青じそを敷いて(3)を盛り、イクラをのせる。

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