旧暦で楽しむ漢方スローライフ(7)霜降

2010.10.10 183号 08面
「麦味参顆粒」

「麦味参顆粒」

「さつまいもとユリ根の茶巾絞り」

「さつまいもとユリ根の茶巾絞り」

 ●霜降(そうこう)…10月23日頃 少しずつ、冬の気配も

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 ◆二十四節気のひとつ霜降は、立冬を目前にして、秋深く日中も寒さを感じるようになる頃です。朝晩の冷え込みは冬の気配すら感じさせます。紅葉は一番のシーズンを迎え、野山の動物たちは冬支度を急ぎます。

 ◆季節と五臓の関係

 中医学(中国の伝統医学)では、五臓を中心に身体の働きを見ていきます。中医学でいう五臓の「肝・心・脾・肺・腎」は、西洋医学でいう肝臓や腎臓の概念とは少し異なり、それぞれが独立した存在ではなく、互いに影響しあって生命を支えていると考えます。秋から冬にかけては、「肺」と「腎」がそれぞれ気候の影響を受けやすくなります。

 「肺」とは、全身の「気(生命エネルギー)」の動きを調節し呼吸や水分代謝をコントロールする臓器で、体温維持や発汗にも関わります。肺が弱ると鼻や皮膚に症状が出やすく、くしゃみ、鼻水、風邪、咳、喘息、息切れなどのほか、便秘、肌荒れも見られます。

 「腎」とは、水分代謝をコントロールしており、身体の発育や生殖、老化に深く関わる臓器です。腎が弱ると精力減退、不妊症、頻尿、足腰の衰え、健忘などの症状が現れます。

 ◆晩秋から初冬の養生

 晩秋から初冬にかけては、「肺」や「腎」を食事や生活の面でケアしていくことが大切です。秋に収穫したものを冬に蓄え、次の春からの活動に備える、そんなイメージです。生活面では睡眠が大切です。早く寝て早く起きるようにして、休日には短時間でも良いので昼寝をして体力を温存しましょう。足元や腰などは冷やさないようにして、入浴時は浴槽で温まるようにしましょう。

 食事の面では、「気」を補うものや潤いを与えるもので夏の疲労回復を。身体を温めるものもお薦めです。

 もち米、白米、さつまいも、里芋、きのこ類、れんこん、ユリ根、ぎんなん、ねぎ、しょうが、柿、りんご、くるみ、竜眼肉、イワシ、サバ、豚肉、鶏肉、卵、はちみつ、酢などを食事に取り入れましょう。

 漢方では、『麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)』やユリ根配合食品、沙棘(さーじ)油、『婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)』、『参馬補腎丸(じんばほじんがん)』などがよく使われています。

 ●お手軽薬膳レシピ

 「気」を補うさつまいもと潤いを与えるユリ根で、ほっこりやさしい味のおやつを

 ◆「さつまいもとユリ根の茶巾絞り」

 〈材料・8個分〉

 ・ユリ根………50g

 ・上白糖………大さじ4

 ・水……………1/2カップ

 ・さつまいも…300g

 ・塩……………少々

 〈作り方〉

 (1)ユリ根は1枚ずつはがし汚れを取る。鍋に水と上白糖大さじ1を入れて火にかけ、上白糖が溶けたら弱火にし、ユリ根を加えて竹串が通るくらいまで煮る。煮汁に漬けたまま冷まし、ユリ根を取り出して煮汁をふき取る。

 (2)さつまいもは1.5cm厚さの輪切りにし、皮をむいて水にさらす。蒸気の上がった蒸し器に入れ中火で15分蒸す。熱いうちにつぶし、上白糖大さじ3と塩を加えてまぜる。

 (3)(2)に(1)を加えユリ根を崩さないようにまぜ、8等分にする。

 (4)ラップを広げて(3)をのせ、茶巾に絞る。

 レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、栄養士)

 ●季節のオススメ養生茶:竜眼茶(りゅうがんちゃ)

 ムクロジ科の植物の実、竜眼肉のお茶

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