季節を楽しむ漢方スローライフ(40)夏休み
●夏休み
夏空の下で元気いっぱい
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抜けるような青空に蝉しぐれが響く頃、子どもたちが心待ちにする夏休みがやってきます。太陽の下、元気いっぱいに友だちと遊ぶ毎日は、夏の大切な思い出になるでしょう。海水浴や花火大会、お盆の帰省と、家族で出かける機会もたくさん。お母さん、お父さんにとっては忙しい季節ですが、家族で過ごす賑やかな時間もまた、夏休みならではの楽しみです。
●夏の不調は「汗」に注意
夏本番を迎えるこの時期は、気温がぐんぐん上がり、暑さの厳しい日が続きます。連日の猛暑を元気に乗り切りたいものですが、気がつくと夏バテ気味だったり、熱中症を起こしてしまったり…そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
中医学では、こうした夏の不調は、“過剰な汗”が大きな原因と考えます。汗をたくさんかくと、体内から必要な「水分」や「気(エネルギー)」が失われてしまいます。すると、身体を冷やせず過剰に熱がこもる、エネルギー不足で体力や食欲が低下する、といった状態につながり、熱中症や夏バテの症状を起こしてしまうのです。
また、体内の水分不足はドロドロ血にもつながるため、五臓の「心」に負担がかかることも。特に高齢者、生活習慣病(高血圧症など)を患っている人などは十分注意しましょう。
●「水分」と「気」を上手に養う
夏の元気の基本は、まず汗で失いがちな水分と気をしっかり補うこと。コップ1杯程度のお茶(冷たいものは控える)などを、日中はこまめに、また入浴前後にも飲むよう心がけ、上手な潤い補給で身体の水分不足を防ぎましょう。
また、体内の気は食事の栄養から生み出されるため、元気な「胃腸」を保つことも大切です。夏は冷たいものの取り過ぎなどで胃腸が弱くなりがち。食生活に気を配り、胃腸をいたわるよう心がけてください。
おすすめの食材は、体内の熱を冷ますトマト、緑豆もやし、きゅうり、冬瓜、ところてん、胃腸を元気にするかぼちゃ、いんげん豆、大豆製品、うなぎ、しそなど。
漢方では、疲労感や食欲不振などの夏バテ症状を和らげる『イスクラ麦味参顆粒』などがよく使われます。
監修:何暁霞(中医学講師)
●ハレの日薬膳レシピ:「冬瓜とスペアリブのスープ」
身体の熱を冷ます冬瓜を使って
〈材料・2人分〉
・冬瓜………………1/8個
・豚スペアリブ……400g
・塩…………………適量
・こしょう…………適量
A・ねぎ(青い部分)………10cm
A・しょうが(スライス)…3枚
A・酒…………………………大さじ2
A・水…………………………1.5L
〈作り方〉
(1)冬瓜は種とワタを取り、一口大に切って皮をむく。
(2)スペアリブはたっぷりの熱湯(分量外)で2~3分下茹でし、水で表面の汚れを洗い流す。
(3)鍋に(2)のスペアリブとAを入れて火にかけ、煮立ったら弱火にし、フタをずらしてのせ、途中アクを取りながら40分煮る。
(4)(3)に冬瓜を加えて強火にし、煮立ったら弱火にして、アクを取りながら20分煮て、塩、こしょうで味を調える。
レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、管理栄養士)
●季節のオススメドリンク
西洋人参茶 ほんのりとした苦みで爽やかな夏を
●夏野菜のきゅうりは、体内の熱を冷まします。
カレンダーの中からハレの日や旧暦の行事を見つけたら、その由来をお話ししませんか。季節の移ろいを楽しみながら。