季節を楽しむ漢方スローライフ(42)十五夜
●十五夜
満月に家族円満を願って
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澄んだ夜空に満月が浮かぶ十五夜(旧暦8月15日)では、団子や秋の実りを供えて月見を楽しみます。この風習は、中国の節句(中秋節)から伝わったもの。中国では満月は家族円満の象徴とされています。今年の十五夜は9月19日。家族の幸せを願って、お月見パーティーなどを楽しんでみてはいかがでしょうか
◆夏バテは早めに解消
日差しが少しずつやわらぎ、秋の涼しさはすぐそこに。ようやく過ごしやすい季節になってきましたが、この時期は夏バテを解消できず、疲労感や食欲不振といった不調を引きずることも少なくありません。爽やかな季節を元気に過ごすためにも、夏の疲れは早めに回復しておきましょう。
夏バテの症状は、暑さの影響で体内に「疲労と熱」が溜まっている状態と中医学では考えます。その主な原因の一つは、夏の汗。汗をかくと、体内の「水分」と「気(エネルギー)」が失われます。すると、体内の熱を冷ますことができず、エネルギーも不足するため、疲労や熱が溜まってしまうのです。また、寝苦しさによる睡眠不足も、疲労や熱が溜まる大きな原因となります。
こうした状態が続くと、体内の熱でさらに水分と気を消耗してしまい、ますます回復が遅れてしまうことに。早めの対応を心がけましょう。
◆秋の乾燥にも備える
夏バテ解消のポイントは、消耗した身体の水分をしっかり養うこと。潤いの多い食材を選び、睡眠を十分取るよう心がけましょう。胃腸を整えて食事をきちんと取り、体内の気を養うことも大切です。
秋は乾燥によるダメージにも注意が必要です。乾燥は「肺」の機能を低下させるため、咳や風邪などを引き起こす原因に。こうした不調を予防するためにも、本格的な秋を迎える前に、身体の水分を十分養っておくことが大切です。
おすすめの食材は、潤いが多く肺を養う梨、ぶどう、白きくらげ、アーモンド、体力を養う大豆製品、秋が旬の山芋、ごぼう、れんこんなど。
漢方では、疲れや食欲不振などをやわらげて元気を養う『イスクラ麦味参顆粒』などがよく使われます。
監修:何暁霞(中医学講師)
●ハレの日薬膳レシピ:「梨と白きくらげのコンポート」
潤いが多く「肺」を養う梨、白きくらげを使って
〈材料・2人分〉
・梨…………………………1個
・白きくらげ(乾燥)……4g
・氷砂糖(なければグラニュー糖)…25g
・水…………………………2.5カップ
・キウイフルーツ(お好みで)……適量
〈作り方〉
(1)白きくらげは水に30分浸けて戻す。水でよく洗い、手で汚れや軸のかたいところを取り除き、小房に分ける。
(2)鍋に水と(1)の白きくらげを入れて火にかけ、煮立ったら弱火にしてフタをし、1時間煮る。
(3)梨は皮と芯を取って2cm角に切り、(2)の鍋に氷砂糖と一緒に加え、さらに20分煮る。器に盛り付け、好みでキウイフルーツを添える。
※温かいままでも冷やしてもおいしくいただけます。
レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、管理栄養士)
●季節のオススメドリンク
百潤露 百合根、沙参、玉竹のブレンド茶で潤いを
●ぶどうや梨は「肺」を養います。
カレンダーの中からハレの日や旧暦の行事を見つけたら、その由来をお話ししませんか。季節の移ろいを楽しみながら。