ヘルシートーク:女優・鈴木京香さん
女優として、女性として輝きを放ち続ける鈴木京香さん。6月公開の映画『おかあさんの木』では、これまでの役のイメージから一転、もんぺ姿の似合う7人の息子のおかあさんを演じています。雪深い長野をはじめとするロケ地でのお話、美しさを保つ野菜生活などについて、お話を伺いました。
●7人の息子を戦地へ見送る優しくたくましいおかあさん
この映画のお話をいただいた時、おかあさんの田村ミツ役にとても惹かれました。戦争のため7人の息子たちが次々と兵隊に取られ、そのたびに庭に桐の木を植えて子どもたちが無事に帰るのを待つおかあさん。悲しみの中にも人のぬくもり、温かさが残る優しい物語だと感じました。また、優しいだけではなく、大地を耕し、子どもたちのために一生懸命に働く、たくましいおかあさんでもあるんですね。
この映画は長野県の田舎の村が舞台で、方言の指導もしていただいたのですが、方言をリアルに追求するよりも、「観てくださる皆さんに理解してもらえる会話のやりとりでありたい」と思い、自然に湧き出てくる想いをまず大事にしました。口下手なおかあさんなので台詞は少ないのですが、だからこそ、絞り出すようにこぼれた言葉や、必死に頑張って伝えた言葉の一つひとつに心を込めました。
戦後70年という節目に公開される作品に出演できたことは私にとっても大きな意味のあることですし、撮影を終えて改めて思うのは、当たり前のようにある平和について、そのありがたさを考えるきっかけになってくれたらうれしいです。
●良いシーンを撮るためキャラバンのようにロケ地を移動
撮影はこの冬、静岡、長野、茨城を中心に行いました。静岡では息子の出征を見送る駅でのシーン、長野では夫と子どもたちが雪合戦を楽しんでいるシーン、そして茨城では畑を耕すシーンと、それぞれのロケ地に思い入れのある場面があります。通常は、時間の制約などもあり大規模に移動して撮影することは少ないのですが、「良いシーンを撮るために」と、キャストやスタッフの皆さんとキャラバンの大移動のようにロケ地を回りました。
茨城で、畑の耕し方や収穫した野菜の扱い方など農事指導をしてくださった先生が、地元のれんこんを使って、現場で天ぷらを揚げてくれました。寒い時期の撮影でしたので、とてもおいしく、ありがたかったです。それぞれのロケ先でも、豚汁や具だくさんのおみそ汁などをスタッフの方が用意してくださいました。その土地の食材も、たくさん使われていたと思います。
これまで母親役には何度も挑戦してきましたが、7人の子持ちは初めて。農業を営み、日が暮れるまで畑を耕すミツのような母親像はいままでなかったので新鮮でした。子どもの人数の分だけ、幸せなことも多いけれど辛いこともたくさん経験したおかあさんの役でしたので、今度は子だくさんの肝っ玉かあさんのような、楽しいお話にもチャレンジしてみたいです。私自身は、10人の子持ちのおかあさんも、やればできるのではないかと思っているんですけど(笑)。
●朝は野菜ジュースがお気に入り夏はマリネをよくつくります
普段の朝は、スロージューサーで野菜ジュースをよくつくります。
ロケから帰った翌日は、冷蔵庫に食材が乏しいこともあるのですが、そんな時も小松菜やりんご、にんじんなどが少しあればつくれますから。ルッコラやトマトなど、なんでもジューサーに入れちゃいます。スロージューサーは低速回転なので野菜や果物の持つ酵素が壊れにくいんですよね。4年ほど前から愛用しています。
料理は好きです。夏には、マリネをつくる機会が多くなりますね。ピーマンやパプリカなどをたくさんマリネにして、スモークサーモンと合わせてよく食べています。他にも、きゅうりや大根などを自家製のピクルスにすることも。
冬はポトフのようなスープで温野菜をいただくことが多い半面、夏はできるだけさっぱりと食べられる調理法を多く取り入れています。
●プロフィール
すずき・きょうか 1968年宮城県生まれ。1989年に映画『愛と平成の色男』で女優デビュー。以降、映画『ラヂオの時間』(97)『血と骨』(04)『沈まぬ太陽』(09)、ドラマ『オンリー・ユー~愛されて~』(96)『セカンドバージン』(10)『夜行観覧車』(13)『だから荒野』(15)をはじめとする数々の話題作に出演し、CM、舞台など幅広く活躍している。2004年、第28回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。現在放送中のNHK総合『こころフォト~忘れない~』では、被災した方々のメッセージを写真と共に伝えている。
●戦後70年記念作品『おかあさんの木』(東映) 2015年6月6日(土)より全国ロードショー
story:太平洋戦争のために、7人の息子が次々と兵隊に取られ、そのたびに桐の木を植え、子どもたちの無事を祈るおかあさん。戦場へと向かった子どもたちに、おかあさんは「おかえり」と言えたのでしょうか。子どもたちは「ただいま」と言えたのでしょうか–。原作は、長年にわたり小学校中学年から高学年の国語教科書に採用されてきた話です。
原作:大川悦生
監督・脚本:磯村一路
出演:鈴木京香、志田未来、三浦貴大、田辺誠一、奈良岡朋子ほか
(C)2015「おかあさんの木」製作委員会