72候を楽しむ漢方スローライフ(79)菊花開く
爽やかな風に秋本番を感じて(寒露次候 10月13~17日頃)
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菊の花が咲く頃。空気はひんやりと涼しく、秋本番のすがすがしい季節を迎えます。この頃に、秋空が晴れ渡ることを「菊晴れ」と呼ぶのだそう。晴れた日には、散歩に出かけたりハイキングを楽しんだり……。爽やかな風に誘われて、身体を動かすのも気持ちが良さそうですね。
●身体の「冷え」は万病のもと
秋本番を迎えると、朝夕の気温はぐっと下がります。寒さが増すこれからの季節は、冷え症に悩まされる人も多いのではないでしょうか。冷え症は病気ではありませんが、頭痛や肩こり、生理痛などのつらい不調を招くことも。身体の冷えは、免疫力の低下につながり“万病のもと”となるので注意が必要です。ただの冷えと油断せず、積極的に冷え体質を改善しましょう。
冷えの主な原因になるのは、体内の「陽気不足」。陽気は身体を温めるエネルギーとなるため、不足すると手足や腰の強い冷え、腰痛などの症状が起こります。また、「血(けつ)不足」「血行不良」などの状態も、温かな血が身体のすみずみまで行き渡らず、冷えを招く要因に。生理のある女性は、特に血不足を招きやすいので注意しましょう。
●「気」「血」を養い身体を温める
冷え対策は、体内の気・血を十分に養うことが大切。胃腸の調子を整え、しっかり食事を取りましょう。身体を冷やすと陽気の消耗や血行不良につながるので冷たい飲食は控え、暖かい服装を心がける、毎日入浴するなど、日頃から身体を温める習慣を。過剰なストレスも冷えにつながるため、気持ちをリラックスさせることも大切です。
食材は、身体を温める鮭、酒粕、にら、ねぎ、しょうが、気・血を養う豆腐、きのこ類、鶏肉などがおすすめです。
◆鮭とにらの粕汁
鮭とにらの粕汁身体を温める鮭、にら、酒粕を使って冷え予防
エネルギー156kcal たんぱく質12.9g 塩分1.3g(1人分)
<材料・2人分>
・塩鮭(甘口)……1切れ
・にんじん…………20g
・長芋……………100g
・えのきたけ………20g
・にら………………50g
・ねぎ………………20g
・だし汁………2カップ
・酒粕………………30g
・しょうゆ……小さじ1
・七味唐辛子………少々
<作り方>
(1)鮭は一口大に切る。
(2)にんじんは3cm長さの短冊、長芋は3cm長さの拍子切りに。えのきたけとにらは3cm長さに切る。ねぎは外側を白髪ねぎに、芯の部分は細かく切る。
(3)酒粕は少量のだし汁で溶いておく。
(4)だし汁に鮭、にんじんを入れ、火にかける。沸騰したら、長芋とえのきたけを加えて煮る。
(5)(4)の中に(3)の酒粕としょうゆを入れ、ひと煮立ちしたら、にらとねぎ(芯の部分)を加えて火を止める。
(6)器に盛り、白髪ねぎをのせ、七味唐辛子をふる。
レシピ:藤田和子、清水玲子、明珍和恵(東京栄養士薬膳研究会)
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24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。