百歳さんこんにちは:東京都・佐々木栄一郎さん(100歳)
東京都品川区に暮らす佐々木栄一郎さん(100歳)は、父が樺太で起こした事業の後を継ぎ、現在は社主を務める。創業107年の歴史を持つ丸茶(株)(東京都中央区)に、いまも毎日出社している。持病の糖尿病を克服するため、食事療法をしっかり守り健康的な生活を送っている。
◆生まれは樺太、父の後を継いで
栄一郎さんは樺太生まれ。12歳まで同地で育った。父親が開拓のため丸茶佐々木商店を設立し、鉄道用機関車をはじめ開拓に必要な機器や石油、石炭、鉄鋼、金属などの商売を幅広く手がけた。
しかし、敗戦で財産を失う。栄一郎さん父子はいくつかの事業を起こしたが、詐欺に遭い苦難の末、ボイラーの設計・設置業で会社を再建した。昭和34(1959)年には社長に就任。現在、社長は二男の浩二さんが継いでいる。
「私は子どもの頃、病弱であったのに、亡き母の特別な慈しみで何とか一人前の健康体となり、慶應大学卒業後は現役兵として近衛師団に入隊しました。その後、3回の召集を受け北支戦線にも赴き、昭和20(1945)年10月まで陸軍に勤務していました」と、終戦までの略歴を語る。
陸軍時代の栄一郎さんは、田中静壱(しずいち)陸軍大将が東部軍管区司令官となった昭和20年3月、副官に任命された。100万人の兵力を持つ終戦時の最強軍団だった。「主な任務は帝都の防衛と皇居をお守りすることでした」と説明する。
◆華麗な人脈 宮家との交流も
栄一郎さんの“人脈”は華麗である。陸軍時代と終戦後の会社再建時に知己を得た政・官・民のトップとの交流は、栄一郎さんにとってかけがえのない財産だ。人脈が広いのはもちろん、栄一郎さんの人柄が買われてのこと。また、いまは亡き妻の澄子さん(享年87歳)の父は近衛文麿内閣と東条英機内閣時代に司法大臣を務めた岩村通世である。こうした人脈に恵まれ、宮家との交流もある。
「東京ローンテニスクラブに所属している縁もあり、天皇陛下と皇后陛下とは毎年お会いします。天皇陛下の皇太子時代には、美智子さまとともに軽井沢や東京で、妻と一緒にテニスのお相手もしました」と笑顔で語る。
◆1日きっちり1400kcal
「長寿なのは半分は遺伝子」と語る栄一郎さん。健康法については「糖尿病を患っているので、食事に気を配っています。一人住まいのため、家政婦さんがいつも料理してくれます」という。1日の摂取カロリーは1400kcalと決めている。毎日、自分で血液を採取し、血糖値もチェックしている。
朝食は生卵に牛乳160cc、野菜80g、酢をかけた生トマト80g、ボイルしたじゃがいもかかぼちゃを50g、肉類はソーセージかハムを70gまたは魚60g、食パン30g、果物50g–ときめ細かい。「うなぎが好物でたっぷり食べたいけれど、一口程度にがまんしています」。
健康を維持するため、週に1回のゴルフも欠かさない。「ドライバーは130ヤードしか飛ばないのでホールインワンはとれませんが、ゴルフで交流を楽しんでいます」と明るい。
座右の銘は「正々堂々」だ。
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