ヘルシートーク:一般社団法人「F-connect」代表理事・プロサッカー選手 小池純輝さん

2022.05.01 322号 03面

活動の一部がこちら!

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とうもろこしやりんごなど、収穫した農産物を使った加工品づくりにも取り組んでみたいです。

とうもろこしやりんごなど、収穫した農産物を使った加工品づくりにも取り組んでみたいです。

 ◆フットボールでつなげる子どもたちの未来 とうもろこし畑から、夢や目標へ

 サッカー選手として、今シーズン17年目となる小池純輝選手。2019年からの所属チーム・東京ヴェルディでは出場試合数も増え、昨シーズンは自身最高の17ゴールを記録。そんな小池選手が代表理事を務める活動団体「F-connect(エフコネクト)」は、児童養護施設を訪問し、子どもたちが夢や目標を持つための支援をしています。昨年から活動の1つとして、農業「エフコネファーム」も始動した小池選手にお話を伺いました。

 ●気軽に訪問した児童養護施設 子どもたちとの出会いがきっかけに

 子どもたちが夢や目標をかなえる応援をしたい–。そんな思いから立ち上げたのがF-connectです。始まりは2014年。当時在籍していたチームのスタッフの方から「交流のある児童養護施設に顔を出してもらえないか」と依頼されました。親交のあった梶川諒太選手を誘って訪問すると、想像以上に子どもたちが歓迎してくれたことに驚きました。

 その後、試合を観戦しにスタジアムまで来てくれて、「小池選手、頑張れ」と必死に声援を送り続けてくれたことが、本当にうれしかったです。シーズンオフに再び施設に遊びに行くと、数カ月経っていたにもかかわらず、子どもたちは変わらぬ熱量で接してくれました。

 そうした交流がきっかけとなり2015年、「フットボールで繋げる、フットボールが繋げる」をコンセプトに、梶川選手と一緒にF-connectを設立。以来、児童養護施設の子どもたちを支援する活動をしています。

 ある施設を訪れた時のこと。最初は積極的な子だけがサッカーに参加していたのですが、帰る頃には、ほとんどの子たちが一緒にボールを追いかけてくれました。聞けば、普段は絶対にサッカーをしない子も楽しげに参加していたそうです。この活動を通して、あらためてアスリートやスポーツの価値も実感しています。

 ●今夏の収穫予定はとうもろこし4000本!

 昨年から、F-connectの活動の1つとして、農業「エフコネファーム」を始めました。もともと農業に興味があり、愛媛のチームに在籍していた時、ご縁があって畑を借りていたんです。ほうれん草や大根、ブロッコリーなどを植えたのですが、全部を収穫する前に移籍することになって(苦笑)。3本足の大根になったりと、収穫するまでの難しさを知り、その過程に関われたのは貴重な経験でしたし、その味は格別でした。

 子どもたちにも、こんな経験ができる場をつくれたらと思い探していたところ、長野県に農業に携わる知人がいたことがきっかけで、現地の企業の方にお世話をしていただけることになって。長野は父の出身地で縁のある場所。どこか懐かしくもある長野県上水内郡飯綱町で農業を始めることにしました。

 当初の目標は、夏にとうもろこしの収穫を子どもたちと一緒にすること。畑を起こすことからスタートし、2000本分の種をまきました。残念ながらコロナ禍で、子どもたちに収穫体験をしてもらうことはできなかったのですが、収穫した一部を届けることはできました。クラウドファンディングなどで協力くださったみなさんにもお届けし好評いただきました。

 冬に向けてつくったのが野沢菜と白菜です。支援していただいた方と一緒に白菜を収穫し、野沢菜のおやきをつくって食べました。

 今夏は、とうもろこしを4000本収穫予定です。品種は人気の「プレミアム味来85」。実が詰まっていて、収穫してすぐは生でも食べられるんです。今年こそ、子どもたちを招待して、味わってもらいたいと思っています。

 ●夜の食事は野菜と魚が中心 トマト、アボカドがお気に入り

 サッカー選手としては今年で17年目。昨年はJ2の得点ランキング3位、日本人では1位となり、長いサッカー人生の中で目に見える結果を出すことができました。今年は、個人の成績はもちろんですが、チームがJ1に昇格できるように貢献したいと思っています。

 日々の食事は年々変化していて、オートミールや玄米を食べたり、植物性のたんぱく質を取ることを意識しています、夜は野菜や魚が中心でトマトやアボカドをよく食べますね。最近は、腸内環境にやさしい発酵食品も取るようにしていて、きゅうりやアボカド、ゆで卵をぬか漬けにして食べたり。塩麹やしょうゆ麹は、妻の手作りです。

 ちなみに今日の朝食は、みそ汁にオートミールを加えて食べました。オートミールを和の汁ものに加えると、雑炊感覚で食べられるのでおすすめです。白だしにオートミール、ツナやサバの水煮を加えて、小口ねぎとかつおぶしをちらして食べるのが好きですね。

 今後、F-connectでは子どもたちの気持ちにアプローチするだけでなく、児童養護施設を退所した後の自立生活に役立つような、実用的な面もサポートできればと思っています。

 実は小学生の頃から知っている、サッカー好きな農業高校生がいるんです。一緒にいろいろ経験していく中で、農業のプロを目指す人が増えたら素敵だし、エフコネファームが彼らの進路の選択肢の1つになれるような体制をつくっていくことも目標の1つですね。

 サッカーや農業体験を通じたコミュニケーションで多くの皆さんとの活動の輪を広げていきたいです。

 ◆プロフィル

 こいけ・じゅんき プロサッカー選手。東京ヴェルディ所属。一般社団法人F-connect(エフコネクト)代表理事。“スポーツで人の心を豊かにし、地域・社会の未来に貢献する”を理念にF-connectを設立。現在、現役選手10名、引退した元選手1名で児童養護施設の子どもたちへの支援を中心に活動。昨年からプロサッカー選手がつくる畑「エフコネファーム」もスタート。

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