ヘルシートーク:管理栄養士・米粉料理家 中村りえさん

2023.02.01 331号 05面

『米粉のおやつとおかず』中村りえ著/宝島社 定価:1,320円(税込)

『米粉のおやつとおかず』中村りえ著/宝島社 定価:1,320円(税込)

本の中身ちょっと拝見:豚肉に米粉をまぶしてつくる「豚肉のしょうが焼き」。とろりとしたたれが豚肉によくからむ

本の中身ちょっと拝見:豚肉に米粉をまぶしてつくる「豚肉のしょうが焼き」。とろりとしたたれが豚肉によくからむ

本の中身ちょっと拝見:米粉を使った「ガトーショコラ」は、ふんわりした焼き上がり。1日おくと、よりしっとりしたおいしさに

本の中身ちょっと拝見:米粉を使った「ガトーショコラ」は、ふんわりした焼き上がり。1日おくと、よりしっとりしたおいしさに

 ◆バレンタインにぴったり! 甘い物が苦手な方にも 米粉でつくるビターなガトーショコラ

 米粉は「アレルギーがある人が使うもの」「扱いが難しそう」と思っている方もいるのでは?

 米粉料理家の中村りえさんによると、米粉は手軽でおいしい、優れた食品だそうです。中村さんに米粉の魅力や活用法、さらにバレンタインにオススメのレシピを教えていただきました。

 ●手軽で幅広く使える米粉 調理法によってさまざまな食感に

 私が米粉を使い始めたのは7年ほど前、夫のアレルギーがきっかけでした。当時、パンをつくるのが大好きだったのですが、夫に「小麦粉を継続して食べていると体調があまりよくない」と言われ、米粉でパンをつくってみることにしたんです。でも、最初はカチカチになってしまって(苦笑)。その後、蒸しパンをつくってみると、モチッとしているのにふわふわで、米粉の甘さがなんとも絶妙。そのおいしさに感動し、米粉にハマっていきました。

 米粉は小麦と違い、グルテンを含まない特長があります。そのため、お菓子をつくる時、小麦粉のように粉をふるわなくてもいいので、ひと手間省くことができるんです。パンをつくる際も、米粉を使えば発酵が1回で済むため作業時間を短縮できます。また、米粉はダマになりにくく、洗い物の時も水やお湯でサッと洗い流せ、後片付けが楽なんですよね。

 「米粉=モチモチした食感」と思われがちですが、実はいろいろな食感が楽しめます。ケーキに使えばきめ細かでふんわり、揚げ物に活用すればカリッと、スープに使えばなめらかなとろみに。幅広く使え、調理法によって食感が変わるのも米粉の魅力だと思います。かめばかむほど甘みがある米と一緒で、米粉にもほんのり甘みがあります。ですので、お菓子に使う時に少し砂糖を減らしても、おいしく感じるはずです。

 揚げ物の衣を小麦粉から米粉に替えると吸油率が低く、油を吸いにくいのでヘルシーに仕上がり、冷めてもベタつかず、カリッとした食感が続くんです。

 そもそも米には食物繊維やミネラル、良質なたんぱく質などが含まれているので、栄養面を考えても優れています。

 ●米粉をうまく活用するコツは卵と組み合わせること

 小麦粉を米粉に替えてお菓子をつくったら失敗した…という方もいるのではないでしょうか。米粉は、水に溶かすと時間とともに沈殿してしまうので、乳化作用や起泡性のある卵と一緒に使わないとうまくいかないこともあるんですよね。卵を使っているお菓子や料理なら、小麦粉や片栗粉を米粉に置き換えても、おいしくつくれると思います。

 米粉を使ったことがない方は、まずは豚のしょうが焼きから試してみてください。豚肉に米粉をまぶすと、たれがトロリとして、豚肉によくからみます。お弁当にもぴったりですよ。

 中華丼やスープをつくる時、片栗粉の替わりに米粉でとろみをつけるのもオススメです。弱火にしてから、水で溶いた米粉を加えれば、ダマにならず、なめらかでやさしい風味のとろみがつきます。

 バレンタインにぴったりなのは、卵、米粉、牛乳などでつくるガトーショコラ。米粉を使うことで、ふんわりと焼き上がり、油を加えなくてもしっとりしたおいしさになるんです。軽い食感ですし、ビターチョコレートを使った大人の味なので、甘い物が苦手な方にも喜んでいただけると思います。

 米粉はスーパーで手に入るのですが、メーカーによって米の品種や製粉方法はさまざま。米粉の扱いに慣れるまでは、同じメーカーのものを使い続けた方が失敗は少ないと思います。イオンでももちろん販売していますし、インターネットからも購入できます。

 ●冬野菜で一番好きな春菊 サラダにして食べるとおいしい

 冬野菜の中でも大好きなのは春菊です。生で食べるのが好きなのでサラダにすることが多いですね。ヨーグルト、粉チーズ、塩をあえたシーザー風のドレッシングをつくってかけたり、ナッツを散らしたり。子どもは生では食べないと分かっているのですが、私が好きなので、いまの季節はよく食卓に並べています(笑)。

 妊娠中に虜になって以来、りんごも好きです。生はもちろん、焼いても煮てもおいしいし、日持ちもするし、なんて万能なんだろうと。クセがないので紅茶とも合わせやすく、米粉を使って「りんごと紅茶のクランブルケーキ」をつくることもあります。米粉ならではのサクサクした生地と、りんごの甘酸っぱさがすごく合うんです。

 米粉は以前よりも安くなってきているものの、まだコンビニでは手に入らないんですよね。今後、もう少し価格が下がれば、米粉を買ってみようという方も増えるでしょうし、小さなパック入りの米粉がコンビニで販売されたら、もっと気軽に手に取ってもらえるのかなと思います。

 米粉を使ったお菓子や料理を実際に食べていただいて、そのおいしさを知ってもらうことが、何よりも米粉を使ってもらうきっかけになると思うんです。コロナ禍まではレッスンを行っていたので、今年は再開したいし、いろいろな方法で、米粉のおいしさを味わっていただく機会を増やしていきたいですね。

 農林水産省は日本の米をもっと使うことを推奨しています。私自身、大好きな米粉はもちろん、ごはんというカタチでも、米の良さを伝えていきたいです。それが日本の農業を応援することにもつながればいいなとも思います。

 ●プロフィル

 なかむら・りえ 大手食品メーカーにて商品開発、健康セミナーの企画や広報に携わり、独立。レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活躍中。家族のアレルギーをきっかけに米粉に出合い、そのおいしさに魅了される。日本人の米離れの深刻さについて学んだことから、米粉料理の良さを伝え、日本の米文化を守りたいと考え、米粉料理家として活動を行う。

 ●NEW Book 本の中身ちょっと拝見

 『米粉のおやつとおかず』 中村りえ著/宝島社 定価:1,320円(税込)

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