ペットフード特集

◆ペットフード特集:市場拡大進む 商品は細分化

総合 2020.08.24 12103号 10面

 ペットフード市場は年々拡大し、商品グレードはスタンダードからプレミアムまで需要は細分化してきている。そこに今年は新型コロナウイルスの影響で、在宅時間が増え、癒しの時間を求め、ペットを新たに飼育する人が増えている。また、外出自粛に伴い、購買動向にも変化が起き、大容量サイズの備蓄需要が高まる状況になっている。各社、ライフスタイルの変化をくみ取った商品開発、売場づくり、サービスの提供にさらに取り組む動きを見せている。(藤田順也)

 ●大容量の備蓄需要高まる

 ペットフードの市場規模(全部門)は、2018年度3023億6300万円(ペットフード協会統計資料)と前年比約0.9%増。国産と輸入の割合は、54.7%と45.3%で15年度から国産へシフトしてきている。09年や1994年度以前のように国産回帰となり、食の安全・安心を国産に求める傾向が影響している。用途別流通量は2017年度からネコがイヌを上回り、長らくイヌがけん引してきた市場に変化をもたらしている。

 ネコの飼育頭数は緩やかに増加し、イヌは減少傾向にある市場環境(表1)で、ネコを中心とした売場を構成してきた。19年全国犬猫飼育実態調査(ペットフード協会)では、そのネコ関連商品の購入先の1位はホームセンター・ディスカウントストア、2位はスーパー、3位はドラッグストアだ。イヌの1位はホームセンター・ディスカウントストア、2位はインターネット通販、3位はスーパーだった(表2)。種類・大容量商品などが豊富にあるホームセンターや価格重視のディスカウントストア、食品など他商品と一緒に“ついで買い”需要に対応したスーパーが主な購入場所だ。

 近年はイヌ、ネコ共に小型化、室内飼育が増加している。そのためペットフードの消費量は減少傾向で、各社は単価増、買上点数増を図るため、機能性商品やプレミアム化、おやつ需要への対応を進め、売上げ確保に努めている。

 また、飼育者の高齢化やペットの長寿化に伴い、飼い控えも起きているといわれる。さらに同調査で飼育阻害要因として、ネコの1位は集合住宅で禁止、2位は旅行など長期外出への懸念、3位は経済的負担が上位となった。イヌは1位が長期外出の難しさ、2位には別れがつらいとあり、3位は集合住宅で禁止されているとなった。

 今後は、ペットホテルなど外出時に預けられるサービスの普及、人やペットの高齢化への対応など飼育率増加につながる取り組み、おやつ需要・付加価値のある商品開発などが、市場開拓に貢献していく。

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