技あり味なカンパニー:CAN EAT アレルギー制限対応、外食で新たに5000億円市場創出

総合 ニュース 2021.04.30 12222号 03面
原材料表示ラベルをスマホで撮影してデータを送るだけでアレルギー表を作成

原材料表示ラベルをスマホで撮影してデータを送るだけでアレルギー表を作成

招待状に2次元コードを印刷し配布することで食べられるもの・食べられないものを細かくヒアリング

招待状に2次元コードを印刷し配布することで食べられるもの・食べられないものを細かくヒアリング

 アレルギーがある子どもを持つ世帯の食費は、それ以外の世帯と比較して食費が月額2万8000円ほど少ない。外食、惣菜などの利用が制限され、ほとんどの食事を手作りにせざるを得ないためだ。そして、その世帯が必ずしも食生活の質において満足しているわけではない。「外食を楽しみたいけれども、アレルギーが心配で行けない」というのが実情だ。その世帯が、外食を気軽に利用できるような環境になれば、その市場規模は5270億円とも試算(CAN EAT調べ)されている。(金原基道)

 ●気軽に選ばれる店舗に

 CAN EAT(キャンイート)は、「アレルギー表作成代行サービス」「アレルギーヒアリングシステム」が主な商材だ。「アレルギー表作成代行」は、加工食品の原材料表示ラベルをスマホなどで撮影し、同社にデータを送付するだけで、特定原材料7品目および準特定原材料を含む28品目の使用の有無および工場でのコンタミの可能性などといった注意事項を一覧表として作成するサービスだ。ホテルのビュッフェなどであらかじめ来場者に各メニューのアレルギー一覧表を渡せば、安心して利用できる。

 食品表示を正確に読み解くには専門的な知識と膨大な労力が必要だ。しかし、同社のサービスを活用すれば独自システムと専門スタッフのダブルチェックの対応をアウトソーシングできる。また、商品規格書が手に入らない・遅延しているメーカーへの問い合わせ代行のオプションもある。価格は7品目の場合、「欄外注意喚起なし」「同あり」ともに年額5万5000円。「同あり」は、加工品1品当たり問い合わせ代行550円のオプションが付く。28品目の場合は「同なし」「同あり」ともに年額9万9000円、「同なし」の場合の加工品1品当たり問い合わせ代行550円。「同あり」は660円(※ただし加工品数年間600品以内の場合。それを超える場合は別途見積もり)。これまで食品メーカー、卸が対応していた場合は大幅な労力削減が可能だ。また、同サービスを活用した飲食店との取組みによってアレルギーの子どもを持つ世帯に選ばれる店舗になる。田ヶ原絵里CEOは「アレルギーがある人がいる世帯が外食を利用する場合は客単価が高く、リピート意向が高いです」と語る。

 ●食の多様化へ対応図る

 「アレルギーヒアリングシステム」は、結婚式、宴会、修学旅行など集団会食の場合、出席者に2次元コードを招待状に印刷し、食べられないもの・食べられるものをきめ細かく聞き取り、パーソナルな対応ができるよう厨房・配膳の現場にその情報を事前に落とし込め、スタッフの共通認識として準備できる。価格は初期費用11万円、1イベントごとに5500円と月16回以上の婚礼などがある施設向けの月額8万8000円がある。どちらもアレルギーによる事故が発生した場合の損害賠償保険付き。食べられないものがあらかじめ分かることで食品ロスの削減にもなる。

 田ヶ原CEOは「同サービスは、アレルギーだけでなく、ビーガン、ハラールなど食の多様化にも対応できる」と説明する。近年では幅広い年齢層にアレルギーが増加しており、その対応の必要性が増しているため、有力な市場ともいわれている。

 同社では代理店を募集している。

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