ドラッグストア特集
ドラッグストア特集:数字から見るドラッグストア 総店舗数2万店突破
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が3月に発表した2018年度版「日本のドラッグストア実態調査」によると、全国総売上高は6.2%増の7兆2744億円となり、17年度の5.5%増を上回る増収率となった。食品・調剤の拡大が続き、店舗の大型化も進行している。主要企業の業績は、JACDSの18年度統計とおおよそ合致する17年度実績では2桁の増収増益が目立った。ただ、18年度は既存店の伸びの鈍化や販管費比率の上昇で営業減益を見込むチェーンが増加しており、成長に減速感もみられる。(宮川耕平)
調査企業数409社の総店舗数は2万0228店、純増数は694店だった。この10年で企業数は7割に集約される一方、店舗数は3割増えている。500平方m(150坪)以上の大型店の割合は60.6%に高まったが、1000平方m(300坪)を超える店舗の割合は0.5ポイント減の14.9%だった。
1店舗当たりの売上高は2.5%増の3億5962万円と過去最高を更新した。2万店を突破した総店舗数と合わせ、ドラッグストア(DgS)業態の成長ペースは加速している。
商品分類別にみると、食品を含む「その他」の伸長率が最も高く9.5%増だった。売上高は1兆9468億円で2兆円に迫り、構成比は「医薬品」に次いで高く26.7%となっている。「医薬品」(5.1%増)と「化粧品」(5.6%増)の伸びに比べると、「日用雑貨」(4.3%増)の伸長率は鈍かった。各社が戦略的に食品・調剤を強化していることや、化粧品をはじめとするビューティーケアでインバウンド需要が大きいことも要因となっている。
主要DgSチェーンの17年度業績は、JACDSの統計と呼応するように総じて好調だ。合併などの効果もあり2桁の増収となるチェーンは表1の18社中8社、2桁増益となるチェーンも8社あった。既存店ベースでも16社5事業のうち前年クリアが15社4事業となっている。上位ほど粗利益率、販管費比率が改善しており、下位になると営業減益となる企業も増える。
食品の拡大は続き、表3の14社中7社が2桁伸長となった。コスモス薬品の食品売上高は3134億7000万円、DgSで初めて3000億円を突破した。1000億円を超えるチェーンは前年より2社増えて7社となった。
食品構成比が最も高いGenky DrugStores(ゲンキー)は、58.7%と6割に迫る。次いでコスモス薬品も50%を超えている。40%台は2社、30%台は4社といずれも前年と変わらないが、クリエイトエス・ディーとクスリのアオキホールディングスの2社は40%を目前にしている。食品の構成比が10%を切るマツモトキヨシホールディングス(HD)は、大手DgSでは例外的なケースになりつつある。食品の売上げそのものが減少しているのは同社だけだ。 総じて好調な17年度に対し、18年度は様相が変わりそうだ。18年度業績は決算月の関係で大半が見通しの数値だが、営業減益となる企業の割合は前年の2割強から4割弱に増えている。増益となるチェーンも営業利益率は総じて低下する見込みだ。要因はさまざまだが、ほかの小売業種と同様に人件費や光熱費は上昇している。
売上げの拡大は続くものの、既存店の推移は18年11月ごろから前年割れも散見されるようになってきた。図6ではフォーマットの特徴別に代表的な3社の月次動向を比較した。11月からマツモトキヨシHDは前年割れが続き、コスモス薬品の伸びも鈍化している。ウエルシアHDは高い伸長率を続けており、既存店の推移はチェーン間の差が大きい。
食品の粗利益率はDgS商材の中では低く、構成比が高まるほど利益率の低下要因になりかねない。一方で回転率の高い商材であることから、補充などの作業量は増える。食品の拡大は売上げ増や来店頻度の向上につながるものの、粗利益率と販管費の両面で対策が必要だ。食品の構成比アップが数年のうちに急速に進んだチェーンも多く、作業効率の適正化のために従来の人時計画を見直す動きもみられる。
粗利益率の改善に向けたアプローチで多いのは、ヘルスケアとビューティーケア領域を再強化する動きだ。コスモス薬品のように食品ディスカウントで伸長してきたフォーマットでも、医薬品・化粧品への取組みを見直している。
食品PB(自主企画)商品の開発も一段と進みそうだ。日配・加工食品だけで1000億円を超える売上げは、食品スーパーでいえば2000億円規模のチェーンの販売力に相当する。DgS内の差別化や異業種との対抗上も、食品分野におけるオリジナル商品の必要性は高まっている。
-
◆ドラッグストア特集:予防・治療・介護を支える
特集 小売 2019.05.03ドラッグストア業界は、10兆円産業にふさわしい社会的インフラとしての役割に期待が持たれている。“街の健康ハブステーション”として社会を支える役割もセルフメディケーションからセルフケアへ進化、方向性は予防・治療・介護と日本チェーンドラッグストア協会が主…続きを読む
-
ドラッグストア特集:KSP-SPの食品POS分析
特集 小売 2019.05.03◆販売傾向に見る成長要因 KSP-SPでは、ドラッグストア(DgS)の食品POSデータの提供を始めている。このデータを用いて、DgSの食品販売の傾向を見る。データ収集店舗は食品扱い比率の高いDgS店舗で、500平方m(約150坪)以上の店舗が中心に…続きを読む
-
ドラッグストア特集:成長戦略を描く=コスモス薬品・横山英昭社長
特集 小売 2019.05.03●関東圏への出店開始 都市型店も挑戦し飛躍 日本では二つの二極化が進んでいると考えている。一つは人口の二極化、もう一つは所得の二極化だ。どちらも関東圏に一極集中の構図が出てくるだろうと予想している。 コスモス薬品にとって、大きなビジネスチャンスは…続きを読む
-
ドラッグストア特集:JACDS「食と健康」市場創造プロジェクト パネルディス…
特集 小売 2019.05.03●専門職の連携、教育が重要 地域住民の健康寿命延伸に貢献を ◆パネルディスカッション参加者 後藤輝明ツルハ取締役、菅原正勝スギ薬局健康経営推進室室長、本橋勝ウエルシア薬局リスク管理部部長、宇野文博同文書院代表取締役、今西信幸JACDS事務総長 …続きを読む
-
ドラッグストア特集:日本チェーンドラッグストア協会・今西信幸事務総長に聞く
特集 小売 2019.05.03日本ヘルスケア協会の会長を務める今西信幸医学博士が18年7月12日、日本チェーンドラッグストア協会事務総長に就任した。今西氏は、日本ヘルスケア学会がヘルスケアのエビデンス(科学的根拠)を確立し、日本ヘルスケア協会が普及、それを実践するのが日本チェーン…続きを読む
-
◆ドラッグストア特集:予防・治療・介護を支える
特集 小売 2019.05.03ドラッグストア業界は、10兆円産業にふさわしい社会的インフラとしての役割に期待が持たれている。“街の健康ハブステーション”として社会を支える役割もセルフメディケーションからセルフケアへ進化、方向性は予防・治療・介護と日本チェーンドラッグストア協会が主…続きを読む
-
ドラッグストア特集:JACDS「食と健康」市場創造プロジェクト 新たな役割で…
特集 小売 2019.05.03日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は「食と健康」市場創造プロジェクトを協会設立20周年記念事業として取り組んでいる。専門性と利便性を持つドラッグストアが病気の予防、治療、介護を担う新たな役割を担い、食と健康を通じて健康市場を開拓するのが狙い…続きを読む
-
ドラッグストア特集:数字から見るドラッグストア 総店舗数2万店突破
特集 小売 2019.05.03日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が3月に発表した2018年度版「日本のドラッグストア実態調査」によると、全国総売上高は6.2%増の7兆2744億円となり、17年度の5.5%増を上回る増収率となった。食品・調剤の拡大が続き、店舗の大型化も進行…続きを読む
-
ドラッグストア特集:JACDS「食と健康」市場創造プロジェクト 中間報告
特集 小売 2019.05.03◇日本チェーンドラッグストア協会第3事業部長・横田敏氏 情報提供が鍵 「食と健康」市場創造プロジェクトは18年6月15日に常任理事会、理事会、総会で決定した。主な内容はメーカー、卸、関係行政と実施し、新カテゴリーづくりの手順、売り方、情報提供の方…続きを読む
-
ドラッグストア特集:成長戦略を描く=キリン堂HD・寺西豊彦社長
特集 小売 2019.05.03●繁盛店など積極改装 関西ドミナント進める 関西を中心に中部・四国・北陸・関東で店舗展開するキリン堂ホールディングス(HD)は、17年3月から第2次中期経営計画(3ヵ年)をスタート。国内営業基盤の再構築に向けて、「関西ドミナントの推進」「既存店の活…続きを読む
-
ドラッグストア特集:成長戦略を描く=スギ薬局・杉浦克典社長
特集 小売 2019.05.03●攻めの経営にまい進 売上げ8000億円を目指す 「攻めの経営」への3ヵ年計画の初年度に当たる昨年、最重要視している「新規出店」を102店実現できた。中部、関西、関東、いずれのエリアも売上げ増が見込めることから、均等に出店を行った。一昨年が80店だ…続きを読む
-
ドラッグストア特集:成長戦略を描く=ウエルシアHD 池野隆光会長・松本忠久社…
特集 小売 2019.05.03●効率化で収益力向上 新体制整え営業迅速化 ウエルシアホールディングスは今20年2月期(19年度)で人件費のコントロールや自動発注導入など効率化で収益力向上を図る。前19年2月期(18年度)決算で増収増益を確保したものの、経費管理が課題になったから…続きを読む
-
ドラッグストア特集:複数税率化の影響 駆け込み需要、キャッシュレス、インボイ…
特集 小売 2019.05.0310月に予定されている消費増税に伴う軽減税率の導入、消費税の複数税率化はドラッグストア(DgS)業界にどのような影響を与えるのだろうか。(1)駆け込み需要(2)キャッシュレス決済に対するポイント還元策(3)インボイス制度--の3点からみた。 増税前…続きを読む
-
ドラッグストア特集:電子タグ利用基盤の構築 3社で店舗実証実験
特集 小売 2019.05.0325年に産業規模10兆円を目指すドラッグストア業界の人手不足が深刻化する中で業態の専門性を強化するに当たっては、店内作業の軽減を必要としている。店内作業軽減へ革命を起こす切り札として、大きな期待を寄せているのが電子タグ利用基盤の構築だ。このため、業界団…続きを読む