茶系飲料特集
◆茶系飲料特集:過熱する「緑茶」戦線 独自の魅力訴求でさらなる成長
2020年の茶系飲料市場の熱戦の火ぶたが切って落とされた。消費者の高まる健康志向に対応する茶系飲料は成長を続ける一方で、コモディティー化も進む市場ともいわれている。その中でも「緑茶飲料」は各社が英知と経営資源を集中する積極的なマーケティング戦略により、年々激しさを増すカテゴリーだ。各ブランドが独自の魅力を訴求することで、市場を活性化し「緑茶」戦線での勝利を目指す。(本吉卓也)
19年の緑茶飲料の市場規模はほぼ前年並みの約4450億円という。冷夏や長梅雨に加え、大容量製品の価格改定などもあったが、緑茶戦争といわれた05年の約4470億円に肉薄するなど、史上最高レベルで推移したもようだ(伊藤園調べ)。
主要ブランドの戦略は次の通りとなる。
●おいしさ=鮮度 鮮度にこだわる「お~いお茶」
伊藤園が展開する「お~いお茶」ブランドは、20年も「鮮度」にこだわる。昨年9月に機能性表示食品化した『濃い茶』が1年を通しての前年比2桁増など好調を持続している。
●史上最大の刷新 「伊右衛門」 鮮やかな緑の水色(すいしょく)実現
サントリー食品インターナショナルの「伊右衛門」は今春、2004年の発売以来、最大となるリニューアルを敢行し、緑茶本来の鮮やかな緑の水色(すいしょく)を実現した。緑色をグループカラーとする欅坂46のメンバーを起用した「アイドルもお茶も緑がいいですよね!」Web動画を展開するなど、鮮やかな「緑の水色」を最大価値化していく。
●発売20周年の集大成 お茶の生命力を引き出す「生茶」
キリンビバレッジの「生茶」は、ブランド原点の「生」のおいしさや価値が実感できる中身・パッケージに進化した。3月3日の新発売から3日間で120万箱を突破するなど、16年の大幅刷新時を上回り、同ブランド史上トップクラスの立ち上がりとなっているという。生活者の共感を図り、同ブランドの社会での存在意義を訴求することで、市場での独自のポジション確立を目指していく。
●新製品「綾鷹 濃い緑茶」投入 和柄デザインも
コカ・コーラシステムが展開する「綾鷹」ブランドは、「綾鷹 濃い緑茶」を投入し、ラインアップを強化する。伝統的な七宝(しっぽう)などの和柄をモチーフにした「綾鷹 和柄デザインボトル」を主要な製品で展開し、マインドシェアナンバーワンブランドを目指す。
◇ブレンド茶
コカ・コーラシステムの「爽健美茶」は13日からリニューアルし、日常の水分補給として選択されることを目指し、ブレンド茶市場の活性化を図る。
アサヒ飲料の「十六茶」は、自然由来の素材がブレンドされたこだわりを、“いいもの16素材”というキーワードで訴求し、ブランド価値向上を図る。新規領域への拡充として「アサヒ 十六茶麦茶」を14日から新発売している。健康16素材を厳選しブレンドしたカフェインゼロのカラダ思いの麦茶だ。
◇トクホ(特定保健用食品)
トクホ茶にも新たな動きがある。コカ・コーラシステムの「からだすこやか茶W」は、今年(3月末時点)は2桁成長を続けるなど好調。花王の「ヘルシア」は、手軽に内臓脂肪レベルを確認できる「モニタリングヘルスサービス」を。サントリー食品インターナショナルは新サービス「SUNTORY+」を展開するなど、市場活性化の新たな取組みが活発化している。