料理マスターズ特集

◆料理マスターズ特集:初の「ゴールド賞」に3人選出 積み重ね・継続性ある取組み評価

外食 2021.12.27 12342号 06面
写真1 

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金子原二郎大臣(左)から授与証が手渡される。右は音羽和紀氏

金子原二郎大臣(左)から授与証が手渡される。右は音羽和紀氏

金子原二郎農林水産大臣

金子原二郎農林水産大臣

榊原英資インド経済研究所理事長

榊原英資インド経済研究所理事長

感染防止対策を徹底しながらも、親交を深める懇親会参加者

感染防止対策を徹底しながらも、親交を深める懇親会参加者

高橋喜幸料理マスターズ倶楽部事務局長

高橋喜幸料理マスターズ倶楽部事務局長

赤松広隆前衆議院議員

赤松広隆前衆議院議員

 ◇第12回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」 金・銀・銅賞に14人

 料理を通じて地域の「食」や「食文化」の素晴らしさ、奥深さを日々実感し、その魅力に誇りを持ち、日本食文化の担い手である料理人を顕彰する「料理マスターズ」は、農林水産省が2010年に創設した制度だ。これを官民一体となって盛り上げる活動を通じて、料理人と1次生産者を結び付けるとともに、食品産業や食を取り巻く分野の企業と連携し、地域活性化や日本の食文化の発展に貢献することを目的としている。

 第12回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」授与式は11月17日、金子原二郎農林水産大臣らを招き、帝国ホテル東京で盛大に開催。従来の「ブロンズ賞」「シルバー賞」に加え、初の「ゴールド賞」に3人が選出された。この制度はステップアップしていく点に特徴があり、年間最大8人が受賞するブロンズ賞に続き、受賞後5年以上経た人を対象に最大5人のシルバー賞、さらに5年以上経過した後、最大3人のゴールド賞が授与される、継続性のある取組みを評価する設計となっている。

 今回、初のゴールド賞3人に、シルバー賞3人とブロンズ賞8人と合わせ、合計14人が受賞した。授与式終了後に、料理マスターズ倶楽部主催の懇親会や、金賞受賞者によるシンポジウムも行われ、参加した料理人や協賛企業、生産者らが、情報交換し親交を深めた。(佐藤路登世)

 ●農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員

 ▽委員長=榊原英資(一般財団法人インド経済研究所理事長)

 ▽委員=青木紀美江(青木農園代表取締役)、大場裕美子(レストランジャーナリスト)、門上武司(あまから手帳編集顧問)、小泉武夫(東京農業大学名誉教授)、小山薫堂(放送作家)、重田秀豪(インサイト)、辻芳樹(学校法人辻料理学館理事長・辻調理師専門学校校長)、西川恵(毎日新聞社客員編集委員)、服部幸應(学校法人服部学園理事長・服部栄養専門学校校長)、村田吉弘(菊の井代表取締役)

 ※委員は五十音順(敬称略)

 ◆主催者あいさつ

 金子原二郎農林水産大臣 地域食文化の担い手

 皆さまのご協力により、第12回「料理マスターズ」授与式が開催できますことを喜ばしく思います。今年度はブロンズ賞8人、シルバー賞3人に、記念すべき初のゴールド賞3人の方が受賞の栄に浴されました。あらためて、皆さまのこれまでのご努力とその熱意に対し、深く敬意を表します。

 また「料理マスターズ」の審査に当たりましては、今年度も榊原英資審査委員長をはじめとする審査委員の皆さまや料理マスターズ倶楽部のお力添えを賜り、心より感謝を申し上げます。

 昨年来より続く新型コロナウイルス感染症の影響により、農林水産業および食品産業は、甚大な影響を受けております。農林水産省としては、農林水産業をはじめ、外食を含む食品産業が持続的に発展できるよう、関係省庁と連携して支援してまいります。

 日本の食については、自然の尊重という日本人の精神を体現した「和食」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、国内のみならず世界的にも、日本人の伝統的な食文化に関する注目が高まっています。

 2025年には大阪で「日本国際博覧会」の開催が予定され、日本の食を広く世界に発信できる機会が控えております。国内外の多くの方に、その多彩な魅力を知っていただけるよう、皆さまの役割に期待しております。どうか今回の受賞を機に、地域に根差した食や食文化の担い手として、さらなるご活躍を賜りますようお願い申し上げます。

 農林水産省としては「料理マスターズ」によって、わが国の誇る「農林水産業」や「食」「食文化」が未来に継承されるよう、「料理マスターズ倶楽部」とも連携し、地域の魅力を伝える活動に取り組んでまいりますので、引き続き皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます。

 ◆審査委員長あいさつ

 榊原英資インド経済研究所理事長 日本の食生活に磨き

 農林水産省と料理というと、今までの感覚では「なぜ」と思いがちですが、農林水産物の消費は、圧倒的に食べることによってなされ、同省が生産だけでなく、消費にまで視野を広げれば、当然料理や料理人も業務範囲に入ります。すでにフランスには「農事功労賞」という顕彰制度があり、農業関係者とともに料理人も対象で、しかも国内はもとより外国人のフレンチ料理人も受賞資格があり、現に日本人シェフで受賞している人もいます。

 従来日本では料理といえば、食品衛生などの観点から厚生労働省、学校給食や食育の関連から文部科学省がかかわることが多かったのですが、食材を所管とする農林水産省が主に業務を担当することは、むしろ当然のことです。今まで、農林水産省の関心が、もっぱら生産者に向かっていたことは、歴史的経緯からやむを得なかったことかもしれませんが、成熟先進国となった日本で、農林水産省の視野が消費者まで、料理と料理人まで広がることは自然の成り行きでしょう。

 この意味で料理人顕彰制度は、日本にとって誠に意義深いことと思われます。今、日本料理、あるいは日本の料理人は、世界的に注目されています。13年12月には、和食が日本人の伝統的食文化として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本料理や日本の食材のすばらしさが、世界的に認められるようになってきたのです。「森と水」の国、日本は世界有数の環境大国です。森、河川、海、日本ほど海産物の数と多様性は世界一とされています。

 当然、自然と食材に恵まれた日本の料理は、日本料理だけでなく、フランス料理もイタリア料理も大変質の高いものになっています。どんなジャンルでもおいしい、ということが日本の料理の特徴といえます。優れた料理人を表彰することで、日本の食生活はますます磨きがかかり、充実していくことは間違いありません。

 ◆料理マスターズ倶楽部主催 懇親会

 ●主催者あいさつ

 高橋喜幸料理マスターズ倶楽部事務局長 ゴールド誕生で節目

 料理マスターズは、ステップアップしていくことが特徴の一つで、今回初のゴールド賞誕生という節目を迎えることができました。受賞者も36都道府県の89人に上ります。質の高い日本の食材を追求し、超一流の技術により、食材の魅力を生かした料理を提供される方々ばかりで、食材生産者をはじめ地域の方々と協業し、地域の魅力を高めることにも励んでおられます。

 料理マスターズ制度の趣旨に賛同いただいた民間企業と受賞者で構成される、私ども「料理マスターズ倶楽部」は、民間の立場で制度を支援し、官民一体となって盛り上げる活動を展開しています。同時に、新たな人材・知恵を、食品産業をはじめ日本の民間企業の活動に生かすことをお手伝いし、日本の食文化の普及や発展への貢献につながれば、望外の喜びです。

 本倶楽部では、受賞者の方々による第一次産業と食べ手・消費者を結ぶ活動を広く知っていただく機会を設けています。今年度は昨年度に続き、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、従来実施してきた活動の多くが、延期・中止となりましたが、次のような活動を定期的に行ってきております。

 特徴を生かした独自イベントとして、プロの料理人の目で地方の加工食品を評価・認定する「料理マスターズブランド認定プロジェクト」を大阪で開催するほか、生産者や料理人の協力でシンポジウムも実施。また、料理人と生産者の思いを伝える食イベント「シェフズキッチン」や、料理マスターズの店と関係する生産者を訪ねる「ガストロノミ&アグリツアー」、食を通じて地域活性化を図りたい自治体を対象に、料理マスターズが相談に乗ってアドバイスするスポットコンサルティングも始めています。

 今年も思うような活動はできませんが、ウィズコロナ時代に対応してまいりますので、ご支援、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 ◆乾杯のご発声

 赤松広隆前衆議院議員 顕彰制度で業界発展

 今回、初のゴールドメダルが誕生しました。シルバーメダル、そしてブロンズメダルを受賞された方と併せ、誠におめでとうございます。

 思えば、11年前の農林水産大臣時代に始まったこの料理マスターズ制度ですが、それだけにオリンピックで多くの金メダルを獲得した今年に、初のゴールド賞が出て、うれしい限りです。ブロンズ賞を受賞して10年経過して初めて、ゴールド賞受賞の資格ができる。その継続性と積み重ねを評価する点に、料理マスターズの存在意義があります。

 従来、多くの料理人が日本の食文化を支えてきましたが、その人たちを顕彰する制度がないために、埋もれてきた長い歴史があります。

 わが国は、面積は狭くても北から南まで緯度の差が大きく、寒暖差によって多種多様な農林水産物が産出され、味噌、醤油などの発酵調味料もあり、こうした魅力ある日本の食を生かし、発展させる料理を、優れた腕前を持つ料理人の皆さまに作っていただき、金銀銅で顕彰するのが、この料理マスターズで、まさしく料理のオリンピックです。

 今回、受賞された皆さまのご活躍と、本日ご来会いただいた協賛企業や生産者、飲食業の方々がますます発展し、日本の農業や料理業界、食品業界の発展につながってくことを願ってやみません。

 【写真説明】

 写真1:前列左から〈ゴールド賞〉音羽和紀氏、中道博氏、森義文氏 〈シルバー賞〉楠田裕彦氏、手島純也氏、薮崎友宏氏 後列左から〈ブロンズ賞〉小林宏輔氏、小林達也氏、高良康之氏、萩原貴幸氏、道野正氏、依田英敏氏、渡辺大生氏、渡辺雄一郎氏

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