料理マスターズ特集

◆料理マスターズ特集:第13回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」 金・銀・銅賞に13人

外食 2022.11.28 12499号 14面
前列左から〈シルバー賞〉杉本敬三氏、〈ゴールド賞〉穴見秀生氏、勝又登氏、中東久雄氏、〈シルバー賞〉十時亨氏、後列左から〈ブロンズ賞〉天野功氏、谷昇氏、戸枝忠孝氏、西原理人氏、廣戸良幸氏、本多哲也氏

前列左から〈シルバー賞〉杉本敬三氏、〈ゴールド賞〉穴見秀生氏、勝又登氏、中東久雄氏、〈シルバー賞〉十時亨氏、後列左から〈ブロンズ賞〉天野功氏、谷昇氏、戸枝忠孝氏、西原理人氏、廣戸良幸氏、本多哲也氏

野中厚副大臣から中東久雄氏に授与証が手渡される

野中厚副大臣から中東久雄氏に授与証が手渡される

野中厚農林水産副大臣

野中厚農林水産副大臣

榊原英資インド経済研究所理事長

榊原英資インド経済研究所理事長

高橋喜幸料理マスターズ倶楽部事務局長

高橋喜幸料理マスターズ倶楽部事務局長

互いに親交を深め、情報交換する懇親会参加者

互いに親交を深め、情報交換する懇親会参加者

 「料理マスターズ」は、料理を通じて地域の「食」や「食文化」の素晴らしさ、奥深さを日々実感し、その魅力に誇りを持ち、日本食文化の担い手である料理人を顕彰することを目的に、農林水産省が2010年に創設した制度だ。これを「料理マスターズ倶楽部」が官民一体となって盛り上げる活動を繰り広げ、料理人と1次生産者を結び付けるとともに、食品産業や食を取り巻く分野の企業と連携し、地域活性化や日本の食文化の発展に貢献する狙いがある。11月7日、帝国ホテル東京で野中厚農林水産副大臣らを招き、第13回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」授与式が盛大に開催。

 「ブロンズ賞」「シルバー賞」に、昨年に続き2回目の「ゴールド賞」も加わり、合計13人が選出された。この制度はステップアップしていく点に特徴があり、年間最大8人が受賞するブロンズ賞に続き、受賞後5年以上経た人を対象に最大5人のシルバー賞、さらに5年以上経過した後、最大3人のゴールド賞が授与される継続性のある取組みを評価する設計となっている。今回、ゴールド賞3人と、シルバー賞2人、ブロンズ賞8人が受賞した。授与式終了後、料理マスターズ倶楽部主催の懇親会も行われ、参加した料理人や協賛企業、生産者らが情報交換し親交を深めた。(佐藤路登世)

 ●農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」審査委員

 ▽委員長=榊原英資(一般財団法人インド経済研究所理事長)

 ▽委員=青木紀美江(青木農場代表取締役)、犬養裕美子(レストランジャーナリスト)、音羽和紀(オトワレストランオーナーシェフ)、門上武司(あまから手帳編集顧問)、小泉武夫(東京農業大学名誉教授)、小山薫堂(放送作家)、重田秀豪(インサイト)、辻芳樹(学校法人辻料理学館理事長・辻調理師専門学校校長)、西川恵(毎日新聞社客員編集委員)、服部幸應(学校法人服部学園理事長・服部栄養専門学校校長) ※委員は五十音順(敬称略)

 ●主催者あいさつ

 野中厚農林水産副大臣 地域食文化をけん引

 日本の「食材」や「食文化」には多彩な魅力が詰まっています。本制度は、生産者をはじめとする地域の方々とのつながりを大切にしつつ、各地の「食材」や「食文化」の素晴らしさや奥深さを見いだし、誇りとこだわりを持ちながら、料理の提供と情報の発信をしてこられた料理人を顕彰するものです。

 本日、受賞の栄に浴される13人の方々は、その土地の自然と旬の食材が持つ生命力の表現やオーベルジュの強みを生かした地産地消の推進、四季の魅力を凝縮させた食材を用いた日本文化の表現といった取組みが、高く評価されたものであります。

 特に、ゴールド賞を受賞された3人の方々は、後進の料理人の範となるとともに、日本の食材生産地や食文化を、より高い水準に引き上げていく貴重な存在です。長年にわたるご尽力とその熱意に対して、深く敬意を表します。

 この2年間、飲食業界は大変厳しい環境のもとに置かれてきました。そうした中においても、本日の受賞者をはじめとする多くの料理人が、顧客と結びつき、地域の食材や食文化の普及・発展に、一日一日、努力を積み重ねてこられたことと思います。

 こうしたたゆまぬ努力が、日本において、世界トップクラスの食文化を育み、世界の人々を魅了し続けています。訪日外国人観光客が期待することの1位は「日本の食」であり、インバウンド消費額の多くが飲食となっております。

 皆さまにおかれましては、今回の受賞を一里塚とし、引き続き、地域の食文化をけん引していただきますようお願い申し上げます。

 結びに、本日受賞された方々をはじめ、日本で研さんを重ねる多くの料理人の、ますますのご活躍とご健勝を祈念いたします。

 ●審査委員長あいさつ

 榊原英資インド経済研究所理事長 自然と食材に恵まれ

 農林水産省と料理というと、今までの感覚では「なぜ」と思いがちですが、農林水産物の消費は圧倒的に食べることによってなされ、同省が生産だけでなく消費にまで視野を広げれば、当然料理や料理人も業務範囲に入ります。すでにフランスには「農事功労賞」という顕彰制度があり、農業関係者とともに料理人も対象で、しかも国内はもとより外国人のフレンチ料理人も受賞資格があり、現に日本人シェフで受賞している人もいます。

 従来日本では料理といえば、食品衛生などの観点から厚生労働省、学校給食や食育の関連から文部科学省が関わることが多かったのですが、食材を所管とする農林水産省が主に業務を担当することは、むしろ当然のことです。今まで農林水産省の関心が、もっぱら生産者に向かっていたことは、歴史的経緯からやむを得なかったことかもしれませんが、成熟先進国となった日本で農林水産省の視野が消費者まで、料理と料理人まで広がることは自然の成り行きでしょう。

 この意味で料理人顕彰制度は日本にとって誠に意義深いことと思われます。今、日本料理、あるいは日本の料理人は、世界的に注目されています。13年12月には和食が日本人の伝統的食文化として、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本料理や日本の食材のすばらしさが、世界的に認められるようになってきたのです。「森と水」の国、日本は世界有数の環境大国です。森、河川、海、日本ほど海産物の数と多様性は世界一とされています。

 当然、自然と食材に恵まれた日本の料理は、日本料理だけでなく、フランス料理もイタリア料理も大変質の高いものになっています。どんなジャンルでもおいしい、ということが日本の料理の特徴といえます。優れた料理人を表彰することで、日本の食生活はますます磨きがかかり、充実していくことは間違いありません。

 ◆料理マスターズ倶楽部主催 懇親会

 ●主催者あいさつ

 高橋喜幸料理マスターズ倶楽部事務局長 官民一体で盛り上げ

 料理マスターズは今年で14回目を迎え、2回目のゴールド賞が誕生し、受賞者は37都道府県の97人に上ります。質の高い日本の食材を追求し、超一流の技術により、食材の魅力を生かした料理を提供される方々ばかりで、食材生産者をはじめ地域の方々と協業し、地域の魅力向上に向けて励んでおられます。

 この制度はステップアップに特徴があり、年間最大8人が受賞するブロンズ賞、その後5年を経た人を対象に最大5人のシルバー賞、さらにその後5年以上経過した人を対象にした、最大3人のゴールド賞が授与されます。

 制度の趣旨に賛同いただいた民間企業と受賞者で構成される「料理マスターズ倶楽部」は、民間の立場で制度を支援し、官民一体となって盛り上げる活動を展開しています。同時に新たな人材・知恵を、食品産業をはじめ日本の民間企業の活動に生かすことをお手伝いし、日本の食文化の普及や発展への貢献を望んでおります。

 本倶楽部では、受賞者の方々による第1次産業と食べ手・消費者を結ぶ活動を広く知っていただく機会を設けています。今年度も新型コロナウイルス感染拡大防止のため、規模を縮小したものもありますが、次のような活動を定期的に行ってきております。

 特徴を生かした独自イベントとして、プロの料理人の目で地方の加工食品を評価・認定する「料理マスターズブランド認定プロジェクト」を大阪で開催するほか、生産者や料理人の協力でシンポジウムや、料理人と生産者の思いを伝える食イベント「シェフズキッチン」、料理マスターズの店と関係する生産者を訪ねる「ガストロノミ&アグリツアー」、食を通じた地域活性化を目指す自治体を対象に、相談に乗ってアドバイスするスポットコンサルティングも始めています。

 今年もウィズコロナ時代に対応してまいりますので、ご支援、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 ●乾杯のご発声

 須永新平農林水産省大臣官房 新事業・食品産業部 外食・食文化課長 倶楽部に関心・参加を

 農林水産省が本制度に期待することは、皆さまのこれまでの取組みが、多くの関係者の道標となることと、取組みの継続、拡大にあります。

 皆さまのたゆまぬ取組みは、日本の食文化のさらなる発展の礎になるものと考えています。ぜひ、地域のそして日本の食文化をごけん引ください。加えて本制度への積極的な参加を、お願いいたします。

 当省では皆さまの取組みを応援すると同時に、一担当として個々の活動を通じて、食文化が積み上がっていく場に立ち会えることは、大変喜ばしく、また誇らしいものです。こうして個別に接点を持つことは、その困りごとを政府内で共有する機会にもなります。

 受賞後には、受賞された料理人の皆さまと協賛企業とで構成される「マスターズ倶楽部」が多様な活動を行っております。

 われわれも皆さまの独自取組みはもとより、倶楽部の活動も応援します。受賞者の皆さまは倶楽部に関心を持ち、参加することで後進料理人への財産としてつないでもらいたい。その結果、受賞者間のつながりが多層化・複層化していく。これこそ当制度の本旨とするものです。

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