資源循環に挑む:千葉市地方卸売市場 食品残さを堆肥化 農家の野菜作り支援

キーパーソン 総合 2020.01.08 11994号 03面
リサイクル推進に尽力する千葉市卸売市場協力会の大塚和雄事務長

リサイクル推進に尽力する千葉市卸売市場協力会の大塚和雄事務長

◇千葉市地方卸売市場・大塚和雄事務長に聞く

千葉市地方卸売市場は場内から出る食品残さを堆肥化し、それを農産物生産者が活用して野菜や果物を作るリサイクル事業に取り組んでいる。導入したのは現在、NTTフィールドテクノ(大阪市)とアライアンスを組んでいるメリーズ・ジャパン(松戸市)(※)がサービス提供している食品残さ発酵分解装置「フォースターズ」。この装置を活用することで生ごみ(食品残さ)を資源化し、廃棄コストを半減することに成功した。「フォースターズ」の導入に当たり卸売業者や仲卸業者をまとめ上げ、地域の野菜・果物作りを支援する市場協力会の大塚和雄事務長にその狙いと効果を聞いた。(涌井実)

●最大限の支援

–導入の経緯は。

大塚 千葉市は人口50万人以上の自治体でリサイクル率がナンバーワン。事業者にはゴミの排出抑制が求められている。市場から出る生ごみ(食品残さ)も当然、有効活用するべきだと思った。

–業者の反発は。

大塚 生ごみはこれまで一般廃棄物として焼却していたが、リサイクルするには分別を徹底する必要があった。分別は各事業者の負担。一銭の利益にもならないし、時間や手間もかかる。卸売業者や仲卸業者の協力を得るのは大変だった。

–理解が進んだ。

大塚 地域食品資源循環型のリサイクルは全国の地方卸売市場で初の試み。ゴミ処理費用の一部負担や専用ラックの購入など、市場でもできる限りのサポートをした。一社一社丁寧に説明した。今では青果部14社中11社に協力してもらっている。

●廃棄コスト半減

–装置のスペックは。

大塚 1日当たり500kgを処理できる「フォースターズ」を4台レンタルしている。音も静かだし、臭いもしない。生ごみは仮置きせずにすぐに装置に投入するため衛生的だ。

–生ごみのリサイクル処理量は。

大塚 2015年度まではリサイクル通達により90tをリサイクルしていたが、2018年度には555tまで増加した。ゴミ全体の排出抑制を進める中、リサイクル処理量が増えたのは分別に協力してくれた業者のおかげ。

●生産者に還元を

–今後の計画は。

大塚 千葉市内にNTTフィールドテクノが出資し、「楽しい」が運営するリサイクルセンターが2月に開業する予定。完成すれば市内でとれた野菜や果物の残さを堆肥化し、それを地元農家に還元できる。収穫した農作物は市場を通して各小売店で販売されるという市内の「輪」が出来上がる。

–課題はあるか。

大塚 まずは、場内青果部の全業者に活動への参加を促すこと。そしてリサイクルの質を上げること。NTTグループのIoT技術を活用すれば、一次発酵物の残量確認や温度管理が容易になる。保守点検も便利になる。早期実装に期待したい。

–情熱の源は。

大塚 非可食部とはいえ、農業者が一生懸命作った野菜や果物をただ焼却処分するのは忍びない。やはり畑でとれた農作物は堆肥化して畑に戻すべき。生産者に何かしらの形で還元していきたい。

※メリーズ・ジャパン=「楽しい株式会社」(北九州市)のグループ会社

〈食品リサイクル事業の概要〉

NTTフィールドテクノが食品関連事業者などに食品残さ発酵分解装置「フォースターズ」を初期費用ゼロのレンタル型で提供。事業者は生ごみを「フォースターズ」に投入するだけでよく、堆肥などに利用できる一次発酵物は、「楽しい」が回収し、リサイクルセンターで完熟堆肥化する。生成した堆肥は契約農家や農協、農業法人に提供し、そこで生産された野菜や果物が再び店頭に並ぶことで食品の地域循環が実現する。

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