食品産業文化振興会、本間充氏が講演 DXは構造改革が重要

本間充代表取締役

本間充代表取締役

 日本食糧新聞社が主催する食品産業文化振興会は6月24日、講師にマーケティングサイエンスラボ・本間充代表取締役を迎えて「Withコロナ時代の食品事業のマーケティングとDX」をテーマに東京・八丁堀の食情報館で開催した。コロナ禍で会合が制限される中、三密を考慮した講演・会場参加とWeb受講の2元体制で開催した。

 本間氏は「DX(デジタルトランスフォーメーション)というと日本ではデジタル化が前面に出るきらいがあるが、大事なのはトランスフォーメーション(構造改革)だ」と強調した。米国の大手小売業ウォールマートが取り組んだ大改革「外部企業に委託して在庫管理を一元化して欠品をなくし、ウォールマートプラスというスマホ(スマートフォン)アプリで、消費者に欲しい商品の在庫の情報提供、クーポンの発行および自動決済にも割引を連動させることなどにより消費者満足度を高めている」事例を紹介した。そして「コロナ前の世界に戻るのではなく、コロナ収束後の新たな市場構築に向けた変革のチャンス」として、意識改革を勧めた。

 新型コロナウイルス感染症の影響でマーケット環境が大きく変わり、「その中には日本の消費者がこれまで持っていた忖度(そんたく)の気持ちが小さくなり、上司に対してでも自我が許される環境に変化して行動に表れてきている」と消費形態の変化の兆しを指摘した。これによって「マスマーケティングの手法が通用しにくくなり、ニッチマス(花王による造語=ニッチ市場を狙うマスマーケティング)を探り当てて大量消費ではなく、長く選ばれる商品開発が重要となる」ことを示唆した。

 日本の食品市場は地域特性が顕著に表れており、「特に生鮮食品では地産地消の傾向が強く、加工食品も同様だ。消費者の欲しがっている商品をいかに的確に把握し、提供していくことが、規模の大小とは関係なく生き残るチャンスとなっていく。20年前、10年前には実現不可能といわれていたことがスマホの普及が進んでいる現在、工夫次第でシステム構築が可能となってきているので、知恵を絞ってスピード感を持って改革に臨むことが必要だ」とした。(宇津木宏昌)

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