包装もち、秋冬へ需要拡大継続 鍋商戦に期待

農産加工 ニュース 2020.10.16 12132号 01面
本格シーズンを迎える鍋にぴったり。使い方・食べ方のアイデア次第で気もちも高ぶる(写真はたいまつ食品提供)

本格シーズンを迎える鍋にぴったり。使い方・食べ方のアイデア次第で気もちも高ぶる(写真はたいまつ食品提供)

 包装もち市場は、全国に休校要請が出されて一時的に急増した需要が衰えず上期を折り返した。通常4~9月は不需要期のため分母は小さいものの、夏場も前年を上回り上期計で約1.2倍の拡大を示した。家庭内での手作り需要増加に伴い、もちがおやつで食べられたり、お好み焼きやピザのトッピングに使われるなど、食卓への登場頻度が増えたようだ。秋冬にもこの需要をつなげていくため、特に鍋商戦で各社提案を強化している。(山本大介)

 包装もち市場は今年3月からの全国小中高校一斉臨時休校を受けて、子どもの家での昼食需要が増加。要請が出された2月末から瞬間で2~3倍の動きを見せるなど急増。3月単月の生産量も全国餅工業協同組合調べで16.8%の大幅増加を見せた。もちが1ヵ月に消費される量は限られるため、家庭内在庫も危惧されたがKSP-POSデータを見ると4~9月まで各月で前年を超えた。ストック需要だけでなく、喫食機会が増え購買の回転が上がったことがうかがえる。

 これを最需要期の秋冬につなげるため、各社は主力1kg大袋だけでなく、小さくカットした小粒やスライスタイプ、しゃぶしゃぶもちなどのバラエティー商品を強化し、鍋物食材の一つとして今まで以上に提案に力を入れる。徐々に外出が増えているとはいえ、例年から見れば年末の在宅率は高まると見られているため、もち業界にとってはチャンスととらえる声が大勢だ。

 特に国内水稲もち米100%使用各社のスライスタイプやしゃぶしゃぶもちは、熱湯で3~5秒ですぐ食べられる簡便さと、煮溶けしにくいのが特徴。サトウ食品は昨年新発売した鍋料理想定の「シングルパックミニ」「しゃぶしゃぶもち」に注力。同社グループのうさぎもちも昨年「ながモチフィルム」を採用した「うさぎしゃぶしゃぶもち小袋3パック」を中心に「うす切り餅」など簡単・時短調理を提案。

 越後製菓はスライスもちのほか、カップ麺用の「カップに切りもち」や一口サイズ「ちびっこもち」「鍋一番」「クッキングもち」などバラエティー商品の提案を強化。たいまつ食品は、今までになかった辛い味付けもちの新商品「辛味こつぶもち」「同スライスもち」で調理需要を刺激。辛味で誘引したトライアルユーザーを秋冬へつなげるため「しゃぶしゃぶもち」で適量・適価をコンセプトに60g、150g、2個パック160g、3個パック270gと品揃えを強化し鍋食材として提案する。

 消費者は上期に喫食経験を増やし、その簡便性やおいしさを実感しており、秋冬向けメニュー提案でさらなる拡大が期待できる。年間売上げの約7割が10~12月に集中する特殊な市場で、成熟傾向にあった業界だけに久々の活況を起爆剤に需要を喚起したい考えだ。

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