炒飯の素特集

◆炒飯の素特集:前期はやや復調 キャラ商品、トレンドレシピで“調理”訴求

調味 2019.07.08 11905号 07面
市場は成熟してメニューは和風・洋風に限定

市場は成熟してメニューは和風・洋風に限定

炒飯(チャーハン)の素は常温保存でき、手軽で経済的な粉末・液体タイプの炒めご飯の素として、根強い需要を誇る。粉末は60年、具入りは30年以上前から発売。あみ印食品工業の「炒飯の素」、永谷園「チャーハンの素」といったロングセラーが今も業界をけん引する。市場は前3月期、微増収で着地したとみられ、前年の大幅減からわずかに回復した。今期は久しぶりにキャラクター商品が登場。パックご飯、ロカボといった消費トレンドに合わせた、従来なかったレシピ提案も揃った。健康的でおいしい、楽しいといった調理価値を伝える。(吉岡勇樹)

炒飯の素市場は18年度、前年比2%増の71億円で着地したとみられる。微増・微減の一進一退を続けながら漸減。17年度は9%減の大幅減だっただけに、以前の規模には戻らなかった。

競合する冷凍食品の炒飯は18年度、1.8%減の277億1200万円と堅調だった。味の素冷凍食品の「ザ★チャーハン」、ニチレイフーズの「本格炒め炒飯」などアッパー商材が17年にヒット。市場を大幅に拡大して前期は反動減に陥った。冷凍炒飯市場は炒飯の素の約4倍。内食消費で圧倒されて久しいが、冷食苦戦に若干恩恵も得た。

炒飯の素市場の復調に貢献したのはもちろん、売場の商品そのもの。具入りの草分けであり、今もトップブランドの永谷園「チャーハンの素」は前期、売上げを伸ばした。昨春の新商品である「にんにくチャーハンの素」が、スタミナ感のある夏向きの味わいで好評を博した。パイオニアのあみ印の「炒飯の素」も増収。17年の60周年企画以後、メディア露出も手伝って、トライアル購買と再認知が進む。

昨年はたれ大手のエバラ食品工業が、人気の小分けシリーズ「プチッと」で参入した。リゾット・雑炊との両用提案を包装全面で訴えて好スタート。アイテム拡充を続け、売場を活性化している。さらに見逃せないのが混ぜご飯タイプの成長。デルモンテブランドの「洋ごはんつくろ」が好調でPOSデータでも着実にランクアップしている。レトルト具材とご飯を混ぜるだけの簡便性、おいしさが徐々に浸透。弁当用途でも支持され、市場の可能性を広げている。

今期最大のトピックは、永谷園「『チコちゃんに叱られる!』ちゃーはんの素」の新発売。「チコちゃん」はNHKで珍しい、バラティー番組のヒットを支える人気キャラクター。子どもだけでなく、大人にも支持され、幅広い層に人気がある。60年以上続く市場の課題は、ユーザーの高齢化と若年開拓の遅れ。約20年ぶりのキャラクター展開によって子ども消費、大人層の認知促進が期待できそうだ。

現代トレンドに合わせたレシピは永谷園によるパックご飯、あみ印のカリフラワーライスの使用提案。無菌米飯のパックへそのまま卵を入れ、混ぜ合わせて炒めれば、フライパン一つでパラパラの炒飯ができる。カリフラワーライスは独特の風味があるが、炒飯の素を使えばマスキングでき、食べやすい。

パック米飯は簡便・保存性が支持されて長年、市場を拡大している。カリフラワーライスは低糖質志向の定着と同時にヒット。2メニューともに手抜き感が払しょくされ、野菜など具材を使えば、健康栄養価値も高まると紹介する。料理・共食の楽しさ、食育活用といった価値訴求につなげ、町中華人気を追い風に働かせる。

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