メニュートレンド:ホットドッグをチーズが包み込む 「遊び心+こだわり」の方程式
東京・北千住に店を構える「Sd coffee」は木おけで提供されるホットドッグ、升と牛乳瓶に入ったシェイクなど意外性たっぷりな演出や、遊び心満載なオリジナルの雑貨・服などを揃えたユニークな繁盛店だ。ぱっと見「アイデア先行」と思われがちだが、実のところ驚くほど細部に手間暇をかけている。そんな商品へのこだわりが独特の世界観をしっかりと支えている。
●フード&雑貨で世界観を増幅
8品を揃えるホットドッグの中で1500円という強気の値付けにもかかわらず絶大な人気を誇るのが「スーパーめっちゃチーズ」。オムレツのようにドッグパンを覆い尽くしたチーズのビジュアルと、持ち上げようとするとどこまでも伸びていく楽しさがヒットの理由だ。
「加熱するとよく伸びるステッペンチーズなど複数のチーズを独自に配合したのがポイントです」と鈴木保幸オーナー。チーズは冷めてしまうと硬くなってしまうため、注文を受けてから店内で手作りしている。またソーセージやドッグパンは独自のレシピで特注したオリジナル品。その上、他店であればすべてのホットドッグ商品でパンも調理方法も統一して効率化を図るところだが、同店ではドッグパンは商品ごとに複数種類を使い分け、ソーセージもボイルやソテーなど加熱方法を変えるというこだわりようだ。
「令和」の焼き印が入ったミルク瓶形のモナカがユニークな「めっちゃ令和シェイク2022」はコーヒーゼリー、エスプレッソとソフトクリームに、きなこと黒蜜、白玉を入れた和と洋の甘味の融合が秀逸。このコーヒーゼリーは自家製しているが、なんと生豆を焙煎するところから自家製しているのだ。地元のコーヒー会社から仕入れるが、農園まで産地指定することもあるという。8~10種類の生豆の状態を確認しながらブレンド比率を調整し、店内の小型の焙煎機で鈴木オーナー自ら250gずつ焙煎する。ほろ苦いコーヒーゼリーとソフトクリームや黒蜜などの甘さとのバランスが絶妙な大人好みのシェイクだ。
見た目の楽しさだけではない味へのこだわりもあり、遠方からの目的客が多い。「区外の人が訪れたくなる店づくりを心掛けています」と鈴木オーナーは語る。よく見るとシェイクの升やマグカップをはじめ、販売している雑貨や服には「北千住」の文字が光っていて土産物屋の風情も醸し出す。多くの客が同店を訪れた記念にグッズを購入するという。
●店舗情報
「Sd coffee」
所在地=東京都足立区北千住4-19-11 サーパスビル1階/開業=2017年7月/坪数・席数=20坪・30席/営業時間=11時30分~18時。火曜休/平均客単価=2000円
●愛用食材・資材
「宝玉卵」 田中農場(埼玉県深谷市)
雑味なく白身まで味よし
ホットドッグに添えるポテ玉やワッフルなど多くのメニューで愛用。ヒナから一貫飼育し、オリジナル飼料と衛生的な環境を心掛けることで雑味がなく白身まで味のよい卵が出来上がる。同店では料理によって濃厚な赤玉と穏やかな白玉を使い分け、食材との相性を高めている。
規格=30、50、70、150個他
【写真説明】
写真1:ホットドッグにはエッグスラットを和風の味付けに変えた「ポテ玉」が付く。「足立区は東京です。」のキャッチコピーが笑いをそそる湯飲みで提供される「足立区ブレンド」(600円)も鈴木オーナー自ら焙煎した豆を注文ごとにドリップしている