特集-そば・うどん 「大井・更科(東京・大井)」漢方そば粉使用のダッタンそば

1997.05.05 126号 12面

ヘルシー志向が叫ばれるなか、漢方そば粉を使った「ダッタンそば」が脚光を浴びている。そのメニューで話題をまいているのが東京は大井町の「大井・更科」だ。成人病予防の効果が口コミでひろがり、いまや一日に二〇食さばく看板アイテムと化している。

ダッタンそばは、そばの発祥地である中国・雲南省でとれるもの。高血圧、糖尿病、動脈硬化の予防、治療に効果のある成分、ルチンを普通のそばの一〇〇倍も含んでいる。黄色がかった色と苦みが特徴だ。

「ヘルシー志向はもとより、そば店でアイテム化すべきニーズは無数にある」という店主の増子忠広さん。「伝統食の上ににあぐらをかいていたいままでのやり方は衰退するだけ。多業種業態の店舗が乱立する昨今は、そば店ならではのメニュー特化がなければ生き残れない」と言い切る。

増子さんは三代目の店主。大学卒業後、大手量販店の企画スタッフを五年間経て後を継いだ。「サラリーマンの競争社会にいたことがいまに生きていますね。マンネリ化したそば業界に新風を吹き込みたい」という。

そんな試みはダッタンそば以外にも見られる。中国からそば種を持ち帰り契約栽培に乗り出したり、季節アイテムに使う野草や山菜を自ら採りに出かけたり。四〇アイテムの地酒は蔵周りで選んだものばかり。夜はそば粉や鴨肉を生かした一品料理と地酒の小料理屋を展開している。最近では豆腐作りに凝っているとか。

それだけこなしながらも手打ち麺と自家製つゆにはこだわる。「ベースがあってこそアイデアが生きる。これからは、すべて自分でやるのが常識になりますよ。大変だけどそのほうが楽しいでしょ」とサラリ。

新世代店主のさまざまな挑戦はこれからも続きそうだ。

◆そばの里「大井・更科」(東京都品川区大井一-二四-五、■03・3774・0002)=営業時間午前11時~午後3時、午後5時~午後9時(土曜・祭日午後2時まで)、日曜定休

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