シリーズ・売れる惣菜 「冷たい料理」 暑さしのぐ手軽な1品

1997.06.16 129号 19面

日本の夏は暑くて湿度が高く、しのぎにくい。冷たくさっぱりとした料理が望まれる。韓国では真夏には熱い蔘鶏湯スープを食べ、汗をいっぱいにかいて涼風を待つ銷夏法もあるがこれは例外である。

欧米で人気の高い冷メニューは、ビシソワーズ(仏)、ガスパチョ(スペイン)が代表的。その他ゼリースープ、オレンジスープ、ヨーグルトスープなどがみられる。

東南アジア諸国は周年暑く、また冷蔵庫の普及率も低く、冷たい料理はあまりみられない。また中国でもし好的に、衛生的にみて温かい料理を好むようである。

日本は冷たい料理でみれば先進国。和食にみる冷たい料理は多い。この代表は、豆腐とコンニャク料理で、外国ではみることができない。料理するという名に値しないほど手軽である。

冷や奴は冷たさが身上。薬味によって味が一段と映える。豆腐に寒天を入れて固め、細長く切って盛りつけた滝川豆腐はところ天のように歯触りが良く涼を呼ぶ。

刺身コンニャクも夏の味でさっぱりとしている。さらに手作りで加薬(青ジソ、アズキ、黒ごま、ゆかり、パプリカなど)を入れると楽しさも倍加、そして水の量を加減してかたさも自由に、歯ごたえの良い刺身となる。

また、日本独特の生食として酢の物がある。酢の味に冷たさが加わると、暑い夏も吹き飛ぶ思いとなる。しかもこのバリエーションは非常に多く、味も一段と映えてくる。作るのも手軽である。

・甘酢=酢、砂糖、塩、だし汁

・二杯酢=酢、醤油、塩、だし汁

・三杯酢=酢、砂糖、塩、醤油、だし汁

・辛子酢=溶き辛子、三杯酢

・ショウガ酢=おろしショウガ、三杯酢

・黄味酢=卵黄、酢、みりん、だし汁、塩、砂糖

・ごま酢=いりごま、酢、砂糖、だし汁、塩、醤油

・梅酢=赤梅酢、砂糖、だし汁

・ワサビ酢=おろしワサビ、二杯酢

これらの合わせ酢を使って、それぞれ独特の料理が生まれる。

冷たい料理として、焼き物、煮物がみられる。

●冷やしナス=直火で皮がはじけるまで焼く。熱いうちに手に水をつけながら皮をむく。 だし汁と醤油を合わせる。ナスを手で裂いて器に盛り、冷蔵庫で冷やす。

●ゆでナスの刺身風=へたを切り落とし、熱湯で七~八分ゆでる。柔らかくゆだったら水 に通し、手ではさむようにして水気を切る。バットに並べ重石をして冷蔵庫で冷やす。 良く冷えたら縦二つに切り斜め切りに。ミョウガタケとおろしショウガを添える。

●蒸しナスのヨーグルトがけ=ナスを、柔らかくなるまで蒸す。皮をむいて四つ割に。塩 ・コショウして冷蔵庫で冷やす。ドレッシングとヨーグルトを混ぜ、レモン汁を加えて ヨーグルトソースを作りかける。

その他の冷料理としては、冬ガンの水晶煮(冬ガンを煮て良く冷やす)、カボチャの含め煮(カボチャを煮て良く冷やす)がある。冷やしながら味を含ませること。

冷やし茶わん蒸し(冷たい茶わん蒸しも格別の味)、煮こごり、カニと炒り卵の寒天寄せなども冷たくて美味。

そして日本の夏の味は、ざるそば、ざるきしめん、冷やし中華(中国にはない)、冷とろろ汁、冷や汁、冷やし沢煮椀、そうめんなど、涼しさを呼ぶ食品があふれており、夏の食事は実に楽しい。

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