シリーズ・売れる惣菜 「卵料理」 持ち味生かしてメニュー拡大

1997.10.20 138号 13面

鶏卵市場は約六〇〇〇億円。そのうち業務用三三〇〇億円、家庭用二七〇〇億円である。日本人が一人一年間に食べる卵の量は三〇〇個強でイスラエルに次いで多い。

国内生産量は一九八〇年に二〇〇万tを超え、九二年以降は二五〇万t台で推移。ほぼ上限で、価格も目玉商品で一個一〇円を割る。最近では飼料を強化した特殊卵が人気を呼び、一個五〇円と高値。しかし、鉄、ビタミン、ヨード分が多いとして市場は好調である。

鶏卵の特性として(1)栄養価が高く、しかもバランスがよい(2)価格もほぼ安値で安定している(3)入手が容易(4)料理の利用範囲が極めて広い、などが挙げられる。

卵料理のバラエティーをみてみると――

●ゆでる=半熟、温泉卵など。

●かたゆで卵=二色卵、うず巻き卵、スタフドエッグ、ミモザサラダなど。

●かたゆで卵の揚げ料理=スコッチエッグ、エッグコロッケ、松花揚げ(椎茸、ハム、ネギなどを混ぜた衣をつけて揚げる)。中華風では醤蛋、蛋焼肉など。

●目玉焼き(フライドエッグ)=ハム、ベーコン添え。

●ポーチドエッグ=酢を加え、はしで左巻きに渦を作った中に卵を割り入れる。四~五分煮て、湯にとって酢洗いも大切。

●オムレツ=オム八年といわれるようにコツがいる。あまり泡立てず軽く混ぜ、専用フライパンを。サラダ油を多めに入れてなじませる。スパニッシュ、ロシア風オムレツも研究のこと。

●いり卵(スクランブルエッグ)=いりすぎると卵の持ち味が失われる。半煮えの状態が最高。利用範囲は非常に広い。

中国風いり卵では、かにたまを始め、卵とトマトの炒め物、卵と豚肉の炒め物など。

●薄焼き卵=平均した厚さがポイントで、ちらしずし、茶巾ずしなど。

●だし巻き卵=だし汁をたっぷりと入れてほどよい柔らかさに。卵一に対してだし汁は二分の一。その他、だて巻き、う巻き、ぎせい豆腐など。

●茶わん蒸し=ポイントは、卵とだし汁の割合で、一対二・五に。あと火加減に注意。火加減は最初の二分が強火、あとの一三分は弱火で。

バリエーションとして、洋風茶わん蒸し(芝エビ、クリームコーン、ブロッコリー、玉ネギなど)、小田巻き蒸し。

●卵豆腐=卵とだし汁の比は一対一。口当たりがよく老人、子供にも向く。バリエーションとして、カキ豆腐、五目豆腐、カニ豆腐など。

●とじ卵=卵の持つ引き集める性質を利用したもの。卵を流し入れたら半熟程度で火からおろし、そのまま蒸らす。煮すぎは禁物。

人気の高いメニューとして親子丼、カツ丼、柳川、アナゴの卵とじ、五目卵とじ、白魚の卵とじ、卵とじうどんなど。

●吸物=卵が主役として見栄えのする吸物が出来上がる。手軽で手早い味となる。

●落とし卵(ポーチドエッグ)=しめ卵、かまぼこの卵とじ、カキ卵汁、卵豆腐汁、ウズラの巣ごもり(ウズラ卵をかたゆでにしてから使う)。

●卵を素材として加工する。

マヨネーズソース、オーランディソース(よく溶いた卵黄に生クリーム、湯せんにかけたバター、レモン汁を合わせる)、黄身酢(黄身酢あえ)など。

●卵を分けて用いる(卵黄と卵白に)。

卵黄だけは、イカの黄身焼き、鶏の黄身揚げ。卵白だけは、泡雪かん、ポテトスフレなど。

卵は生産性大で価格も安く、利用価値は極めて大。利益食材として多用をおすすめする。

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