世界の人気食材 「パパイヤ」魔力秘めた香り、未熟果は漬物に

1997.11.03 139号 21面

パパイヤの原産地は熱帯アメリカ。高さ一〇㍍にも達する多年生草木で、熱帯から亜熱帯にかけて広く分布。外国ではツリーメロンと呼び、木になるウリを意味している。

種をまいて早いものは一年で実をつけるが、雌木と雄木があり、実のつくのは雌木だけ。一ヵ所に二~三本一緒に植えること。暴風雨に弱く、排水不良の地では生育できない。

パパイヤは一年中市場に出回り、人気の高いフルーツとなっている。果実は球形、倒卵形など品種によって異なる。果重は〇・七~四・五㎏と大差がみられる。

果肉の色は黄色、オレンジ色、紅色とあり、自然交配によって変わりやすい面をみせている。生食用としてソロ種が最高。これは黄色種で倒卵形、果重は一個一㎏前後である。

パパイヤを縦に真っ二つに切ると、中心に空洞があり、ここに透明なやわらかな皮をかぶった、コショウ粒大の黒い種子がぎっしりと詰まっている。

果肉はヌメヌメとしたオレンジ色か赤色。酸味は全くなく、果肉はとろけるようにやわらかく、甘みがあり、繊維質の少ないのが特徴である。

特有の香りがあり、味は意外と複雑。このため、初めての人には嫌われることが多い。しかし、食べ慣れるとやめられないのが熱帯果物の特性ともいえよう。

人によってレモン汁をかけて臭みを消して食べているが、本来の味は損なわれる。しかし、熟したパパイヤには酸味がないので、熱帯の一部の地域では、カラマンシーやライムを添えることもある。冷たくして朝食にすると、一㎏近くも食べられるほど口当たりはよい。

パパイヤの成分ではビタミンAが非常に多く、Cでもミカンやレモン並み。このほか、ミネラルではカルシウムと鉄分があり、健康食品、美容食品とも呼べそうである。

またパパイヤは、タンパク質分解酵素パパインを含んでいるので有名。しかし、完熟したパパイヤにはほとんどみられない。葉から出る乳液にはパパインが多く、かたい肉をこの乳液に漬けておくと一~二時間でやわらかくなる。生肉をパパイヤの葉に包んでおいてもよい。

品選びとして、小売店頭のパパイヤは未熟品で青みがあるが、この皮が黄金色に変わるころが食べ時となる。割ってみて種子が黒ずんでいるものはよいが、灰白色の場合は未熟品が多い。ひどい軟化品はシチューや煮込みに向く。

手ごろな食べ方はスプーンで食べる生食が最高、このほかパパイヤサラダ、揚げ物、ミルクセーキ、シチューなどの料理を始め、アイスクリーム、シャーベット、ショートケーキ、パイ、ゼリーなど。菓子やデザートにも向いている。このほか、ドライフルーツや缶詰にも利用されている。

熱帯地方では青いパパイヤが売られているが、これは果物としてではなく野菜用である。一年中出回り便利な存在であり、未熟果は果肉がかたいので薄く切って漬物用に利用。沖縄ではパパイヤの味噌漬けや、ぬか漬け用にキュウリの代用として喜ばれている。

その他熱帯地方ではパパイヤとパイナップルのマーマレード、パパイヤとバナナのドリンク、パパイヤと小エビのオードブル、パパイヤ入り鶏の水たき、青パパイヤの炒め煮など、広い範囲で利用されている。

周年輸入されているが、ピークとなるのは3~7月にかけてで、まだ伸びが期待されよう。

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