話題の飲食施設 錦糸町そごう・アルカタワーズ錦糸町(東京・墨田)

1997.12.01 141号 18面

平成6年からJR錦糸町駅北口(東京・墨田区)で進められていた再開発事業「ARCA TOWERS(アルカタワーズ)錦糸町」は、10月22日「錦糸町そごう」(地下五階、地上一一階、塔屋二階)がグランドオープンしたことにより、すべて完了した。これは旧国鉄用地を主体とした再開発事業で、東京都、墨田区、国鉄清算事業団、東日本旅客鉄道、日本生命、そごう、東武鉄道と民間地権者三九人で構成する「錦糸町駅北口地区市街地再開発組合」が建築主となって推進していた建設プロジェクト。プロジェクトは三街区からなっており、オフィス、ホテル、住宅、文化会館、百貨店を一体化する複合都市施設の建設事業。

先行してオフィス、ホテル、住宅棟が今年6月に完成していたが、10月に入って文化会館、百貨店(そごう)がオープン。これにより、プロジェクトはすべて完了した。再開発事業の中核施設は「錦糸町そごう」で、団塊の世代のファミリーミセス層からヤングキャリア層の女性を対象に、ファッションから食品、レストランサービスまでフルラインでの品ぞろえ、フロア構成が沿線住民の注目を集めている。飲食施設はそごう一〇階のレストラン街「ARCA PLAZA」に一五店舗を展開するほか、オフィス棟の「アルカイースト」に七店、東武ホテルに五店の計二七店舗を集積、ビルインでは地域最大の飲食ゾーンをアピールしている。

錦糸町はかつては“風俗の街”“ブルーワーカーの街”としてのイメージが強かったが、八〇年代に入って西武や丸井百貨店が進出してきたことにより、街並みも明るくなり、地域外からの買い物客や若者も多く集まるようになった。

現在では東京・墨東地域においては、最大のショッピングゾーンとしての賑わいをみせているわけだが、新たにそごうデパートがオープンしたことにより、さらにこのポテンシャルは高まることになった。

しかし、錦糸町の街の顔は下町の気さくと日常性にあり、銀座、日本橋は別格にしても、新宿、渋谷のような山の手の消費者を意識した気取りはない。

ARCA PLAZAレストラン街はこういった錦糸町の空気をとらえて、「気どりのない空間で、おいしいものを安く提供する」というコンセプトで、個人やグループ客への利用をアピールしている。

「百貨店のレストラン街といえば、内装に凝ったり、人工の川(せせらぎ)を作ったりと、ハイブローの雰囲気になってしまいます。錦糸町そごうの場合は、日常の目線で気軽にご利用していただこうという考えで、フロア構成もシンプルですし、ゆとりのある空間が自慢です。消費単価も一〇〇〇~三〇〇〇円前後とポケットマネーでご利用できる範囲で、おいしいものを安く提供しようという運営方針です」(錦糸町そごうテナント部)

現在の利用状況は、平日はOLやサラリーマン、土・日は家族連れが主体になる。客単価は夜でも二〇〇〇円どまりというところが多い。

一五店舗トータルの席数は一〇六〇席強。初年度売上げ二七億円を設定している。

◆中国料理「翠蘭」

中国料理「翠蘭」。広東料理と飲茶が売りの店で、「ランチタイム」(午前11時~午後2時)、「飲茶タイム」(午後2時~5時)、「ディナータイム」(5時~10時)と時間帯別の運営システムを導入している。

単品メニューは一二〇〇~三〇〇〇円だが、夜は四〇〇〇円、五〇〇〇円、六〇〇〇円のコース料理がおすすめ。本格的な会食、宴会メニューとして八〇〇〇円、一万円コースもある。

四〇〇〇円コースは三種盛り合わせ前菜、貝柱と野菜スープ、牛肉とブロッコリーのXO醤炒め、芝海老のチリソース煮、季節野菜のカキ油あんかけ、焼そば・チャーハン・おかゆのいずれかとデザート。

一万円コースはさらにリッチな内容で、ふかひれ姿煮、北京ダック、仔羊の鉄板焼き、鶏肉入り薬膳おかゆなど高級素材を使った一〇品。

一日平均客単価は一七〇〇円。夜三〇〇〇円どまり。客層は買い物ついでの女性客、サラリーマンなど。姉妹店が吉祥寺、松庵(東京・杉並)、八王子にある。食品スーパー三浦屋(本社=吉祥寺)系列の中国レストラン。

◆日本料理「かもがわ茶寮」

日本料理「かもがわ茶寮」。鴨川グランドホテルの直営店。ディナーレストラン鴨川をワンランク下げた業態で、女性客をはじめ個人やグループをターゲットにした運営形態にある。

錦糸町店は川崎・溝ノ口(丸井百貨店)、10月1日にオープンした恵比寿アトレにつぐ三号店目の出店。メニューは共通で、昼は茶寮和牛弁当、造里御膳各一四八〇円、茶寮遊膳一九八〇円、松花堂御膳二五〇〇円ほか。

夜は地酒各種と豆腐や地鶏の一品料理六五〇~一一八〇円、特選コース料理の味六の宴二八〇〇円、山海の宴三八〇〇円、茶寮の宴四八〇〇円がおすすめ。

客単価は当初三〇〇〇~五〇〇〇円に設定していたが、現在は五〇〇〇円の水準。売上げ二〇〇〇万円は軽くクリアできそうだ。

◆洋菓子&レストラン「不二家」

洋菓子&レストラン「不二家」。貢献度の高い飲食メニューはサラダ七八〇~八八〇円、ピザ・サンドイッチ七〇〇~八八〇円、パスタ・ドリア六五〇~八八〇円、ハンバーグステーキ七八〇~九八〇円。客単価一〇〇〇円、月商二〇〇〇万円目標。

◆ベッラベーラ

南欧キッチン「ベッラベーラ」。(株)レストラン森永(本社=東京・芝浦)の直営店。直径三〇㎝もある薄生地のピザ一二五〇円、森のキノコ一二〇〇円、殻付きアサリのスパゲティワイン風味・トマトソース一二五〇円、カルボナーラ一〇八〇円、ブッタネスカ、ペンネのボスカイオーラ各一一〇〇円などパスタがおすすめメニュー。

客層は昼サラリーマン、OL、夜はファミリー客が主体になる。客単価二〇〇〇円前後(夜)。月商二〇〇〇万円が目標。

・所在地/東京都墨田区錦糸町二-二-一(電話03・5608・2111)

・開店/一九九七年10月22日

・運営/(株)錦糸町そごう(資本金一億円、水島廣雄社長、社員数約四〇〇人)

・フロア構成/地下五階、地上一一階、塔屋二階=地下四・五階地域冷暖房施設、東京電力中間変電所、地下二・三階駐車場(二三〇台)、地下一階~地上一〇階店舗、地上一一階屋上

・建築総面積/二万三八〇〇坪

・店舗面積/九五〇〇坪

・営業時間/午前10時30分~午後7時30分

・初年度売上げ目標/二六〇億円(2月決算)

◆アルカプラザの飲食15店の構成

・日本料理「かもがわ茶寮」(六三坪、九六席)

・江戸前寿司「築地すし好」(三七坪、七八席)

・てんぷら「天はな」(三四坪、六八席)

・とんかつ「いなば和幸」(三四坪、六〇席)

・釜飯串焼「膳処旬花」(四〇坪、七二席)

・そば「永坂更科布屋太兵衛」(三一坪、七二席)

・うどん・そば「家族亭」(二九坪、五〇席)

・お好み焼「えの木」(三〇坪、五〇席)

・パスタ「ガルロ・ネロ」(三九坪、六八席)

・南欧キッチン「ベッラベーラ」(六三坪、一〇二席)

・ベーカリー&ステーキ「ウイーボ」(三五坪、六一席)

・欧風カレー「ボンデイ」(二四坪、三七席)

・洋菓子&レストラン「不二家」(五三坪、八六席)

・焼肉名菜「福寿」(五七坪、七二席)

・中国料理「翠蘭」(七〇坪、九二席)

◇錦糸町東武ホテル飲食店舗

<一階>ロビーラウンジ「クリスタルムーブメント」

<二階>中国料理「壷中天」▽カフェレストラン「ベルカント」

<二四階>日本料理「簾」▽バー・スカイラウンジ「スカイノーツ」

◇ARCA TOWERS(アルカタワーズ)錦糸町施設概要

・錦糸町そごう/(別掲)

・錦糸町東武ホテル/地下三階、地上二四階、三八三室、大中小宴会場一〇室、飲食五店舗

・オフィス棟/「アルカイースト」(地下三階、地上一九階=飲食施設別掲)、「アルカセントラル」(地下三階、地上二二階)、「アルカウエスト」(地下三階、地上二二階)

・文化会館/「すみだトリフォニホール」(地下三階、地上九階=コンサートホール一八〇一席、リサイタルホール二五二席)

・住宅棟/「アルカハビタ」(二棟=地下二階、地上一四階、計一六九戸)

・駐車場/計九七〇台

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