「ハンバーガー」 サンテオレ、地方都市での店舗展開急ピッチ 立地戦略でも差別化
明治乳業の外食事業としてスタートしたハンバーガー事業で、昭和四九年に子会社明治サンテオレを設立、同五一年には早くもフランチャイズ一号店を開設している。
今年9月末現在この店舗数は直営二三店、FC六三店の計八六店(九一年度売上げ四八億円)で、首都圏を中心に東北、上越、中国地方に出店している。
しかし、FC展開を開始して一六年が経過しているにもかかわらず、まだ一〇〇店舗にも達しないというのは、まだ十分に競争力をつけていないということを物語っている。
事実、都心部においてはサンテオレの店舗をほとんどみることがない。都心部や市街地での出店は、やはりマクドナルドやモス、ロッテリアといった有力チェーンが侵食しており、サンテオレの入り込む余地は極めて小さくなっている。
このため、サンテオレはこれらの先発チェーンとの無益な競争を避けるためにも、今後の市場戦略としてはむしろ大都市圏よりも、ハンバーガーに馴染みの薄い地方都市やリゾート地での出店を活発化していく方針を打ち出している。
「ハンバーガーに対する需要、ニーズはまだまだあると思うんですが、都市部での出店コストはかかり過ぎですから、市街地での出店はあまりメリットがないんです。ですから、私どもとしては、他社との差別化をはかっていく意味でも、立地戦略から変えていこうとしている分けです」(サンテオレ販売企画課)。
店舗は通常型の出店であれば一〇~四〇坪の大きさ、商圏は単独店であれば、半径一㎞の徒歩圏、ショッピングセンター内へのテナント出店であれば、一〇㎞、二〇㎞と商圏は拡大する。
スキー場やリゾート地での出店は、現在のところ斑尾、苗場、栂池、会津など四、五店を出しているに過ぎないが、営業日数が一〇〇日以上見込めるところであれば、どこにでも出店していくとしている。
店舗の大きさと形態は、リゾート施設のロッジやレストラン内であれば、厨房のみの四坪の三二店舗としている。
また、リゾートホテルや他の施設内へのテナント出店の場合は、一〇~二〇坪前後の店舗面積で、客単価七~八〇〇円、年間(一〇〇日~稼働)売上げ一五〇〇万円を見込んでいる。
一日売上げに換算すると一五万円、客単価七〇〇円とすると、一日当たりの来店者数は二〇〇人強ということになる。市街地出店ではないリゾート地での出店であれば、妥当の数字といえるだろう。
メニューについては、ビーフテリヤキバーガー(二九〇円)、チキンテリヤキバーガー(二九〇円)のほか、オリジナルのスキヤキバーガー(三三〇円)などを代表的商品として訴求しているが、サンテオレの場合はチキンテンダー(三〇〇円)、スナックチキン(三本・二八〇円)などチキン材料のメニュー企画も揃いバラエティに富んでいる。
サンテオレはメニュー開発の方向として、ビーフ材料のスタンダードメニューの消費が減少気味の傾向にあることから、チキンやシーフードなど、他のオリジナル商品を開発していく考えで、徹底して本物志向を追求する。
つまり、あくまでもハンバーガーを主体とした商品開発を進め、目先の利益は求めていかない考えだという。
しかし、コンビニ業界が弁当やごはん物にマーケットを拡げているので、この分野の商品開発については、今後の大きな課題としている。