1級料飲サービス士探訪 第一ホテル東京宴会サービスキャプテン・牧野純一さん

1998.05.04 151号 14面

婚礼は一生一度の晴れの舞台です。良い思い出が残るように、サービスには細心の注意を払います。お客さまは新郎・新婦、その友人は若い方、御親族は年配の方と、両世代がお集まりになる。それだから希望、お好みも違います。

お客さまのお帰りの時間は、新幹線、飛行機の予定時刻がありますので、ご希望に沿わなければなりません。披露宴は正餐の形式です。一般の立食方式と違いサービスにはよりきめ細かく神経を使います。最上のサービスとお客さまへの心遣いが必要です。

配膳会のスタッフの能力を引き出し、間違いのないように気を付ける。ミスをして苦情が出ればすぐに謝り、処理を早くする。長引かしてはいけません。

良い最高の結婚式ができたとお客の皆さんのご満足ができるように努力をしています。

(上司補足=サービスはメーンレストランが一番きちっとしているように思われがちですが、婚礼は料飲のサービスの基本を凝縮したものです。起こりうるあらゆることに対応できなければなりません。お客さまの希望は多岐にわたります。救急車の手配、さらに飲み足りない方へのバーへの案内、着物の汚損クレームの処理など、希望に応えるためにはホテルの設備、機能すべてに通暁していなければなりません。婚礼がまっとうできれば、サービスマンはどんなレストラン・バーにでも対応できます)

一般宴会は法人が大部分です。第一ホテルを何回もご使用下さった方が少なくありません。さらにご満足頂けるように、幹事と良く打ち合わせをし、ベストを探して提案しております。

第一ホテルには歴史と伝統があります。昔からのベテランが五〇%、長い経験を貯えております。初めてのかたにもそれぞれ企業のやり方がありますので、それを拝聴し良い方法を一緒に考える。そして旗の並べ方など、長年培ってきた知識、国際儀礼を参考にして設営いたします。お客さまはご満足され、以後顧客としてお使い頂いています。

ブライダルについては若いスタッフの考えを取り入れ、試行錯誤しながらテーマウエディングを作ってきました。おかげさまで件数は増えてきました。新婚旅行から帰られて、少なからぬ喜びのお手紙を頂いています。

若い者は外食産業やホテルを回って勉強しています。休日には行楽地や施設に行きます。そこには必ずサービスマンがいます。そこでいろいろな注文を出します。そして、違う職種がどんなサービスをするか勉強しています。

ホテルは労働集約型産業です。人手がなくなると今までのサービスができなくなる。人手を掛けないとそれなりのサービス減少になります。今までのサービスをうやむやにするのでなく、お客さまの満足度を下げずに小人数で高品質のものをつくらなければならない。若い人と、古い歴史が培ったものとをブレンドして考えていかねばと考えます。

一級技能士とソムリエのバッジを常に、胸に着けています。職場の従業員の前で、自信を持って仕事をするようになりました。自信を持つということは、お客さまに対しても完璧な仕事、サービスをしようという気持ちになります。サービスについて、マンネリから脱して前に進もうというのが生きがいです。

現代は資格のブーム時代です。私がソムリエを取った一〇年前は二七〇番目でした。今は三〇〇〇番ぐらいになっています。資格を保つ者として、資格以上で資格以下にはなりたくない。その奥、その奥と勉強を続けたい。お客さまのニーズに瞬時に対応できる、時代の流れに応じたサービスをしたいと思います。

(聞き手・野崎正)

【参考】資格認定機関=社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会(東京都中央区銀座八-一二-六、小野商ビル2F、電話03・3545・5481)

まきの・じゅんいち=昭和58年(株)第一ホテル入社。同ホテル新橋コーヒーショップバー、メーンダイニングに勤務。63年同トウキョウベイ開業、宴会担当。平成元年ソムリエ資格取得。5年第一ホテル東京リニューアル開店、宴会担当。8年料飲サービス士一級取得。現在、第一ホテル東京宴会サービスキャプテン・ソムリエ。

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