裏方さん頑張る! 客室清掃、ベッドメーク、ビルメンテナンス
客室清掃、ベッドメーク、ビルメンテのベテランである谷口充さん、廣谷史郎さん、小澤れい子さんが所属する商船三井興産(株)(海運会社の大阪商船、三井船舶の系列会社)は、首都圏・京阪神に九〇余りのビルに(ホテル、オフィス公共建物の管理、清掃、ベッドメークの)技術を提供している。
私たちはお客さまの部屋掃除を五年余りやってきました。客室に入ってまずにおいが気にかかります。香水やたばこのにおいは、窓を開ければ消えてしまいますが、飲み物をこぼしたにおいなどはなかなか取れません。
また、床に落ちているホッチキスの針、ワイシャツのピンなども困りものです。一つ一つ手で抜き取って取り除きます。
長期滞在のお客さまや、ホテル内で会議など仕事をされている方は、いつ戻って部屋を使われても良いように、一番先に手早くお掃除をいたします。お部屋でお仕事を続けながらお掃除を希望される方には、少しでも邪魔にならぬように静かに掃除を済まし、ベッドメークをします。
お忘れ物がないように気をつけます。見つければすぐにお客さまに連絡を取るようにしていますが、発見が遅れると、お客さまがお困りになられるので気をつけています。
お子さまは初めて入った場所で精いっぱい暴れたいものです。ベッドの上で飛んだり跳ねたりします。どうぞどうぞと申し上げています。心地よく過ごしていただきたいからです。
また、お年寄りのお客さまも多くいらっしゃいます。事前に車いすの方がご利用されると分かれば、車いすがお使いやすいように配置を考えて家具類をセットします。
客室清掃、ベッドメークのお仕事はほとんど女性や主婦です。主婦は仕事が終わって帰ってからも家庭の仕事があります。それを考慮して仕事を教えています。それでもマニュアルをみて、自信をなくす人が少なくありません。希望を長く持たせ、力の入れ方のコツを教えます。
帰る前のひと時、みんなで集まってお茶やお菓子を囲み、指の痛みや取っ手にぶつかった傷などを話題にして励ましあっています。仕事が終わると何とも言えない満足感が湧きます。
客室に備える化粧品や冷蔵庫の飲み物などは、時代の流れによって変わります。使用されないもの、好まれているものなど、お客さまの好みが一番分かるのは私たちです。
定年延長、企業のリストラによって中高年の求職が非常に多くなってきています。技術、経験を必要としない、あまり高額の資本投下を必要としないことから参入者が多い業種です。乱立・過当競争になっているといえます。それだけに業界で生き残るためにはサービスの差別化が必要です。
衛生保健、人命の安全遵守といった細かいところまで対応ができ、ビルのオーナーや運営母体が安心して任せられる、そうした会社でなければなりません。
それを目指して二〇年やってきました。仕事の内容が優れて心配がないということは、技術が高く、規則を守り、訓練されているきちんとした従業員がいるということです。最近の機器、洗剤材料の機能の進歩がありますが、最終は人の内容です。弊社は船出身者が多いことでこれが守られています。
(聞き手・野崎正)