名古屋版・繁盛店ルポ:「焼き焼き倶楽部」
ブラザー工業の子会社でイタリアンレストランを展開する(株)グランピアットは昨年11月、新業態「焼き焼き倶楽部」をオープンした。同社はイタリアン大皿料理「グランピアット」とパスタとケーキの店「マンジャ・パスタ」を名古屋中心に東京、大阪などで九店舗展開中だが、今回新たに和業態へ参入。「焼く」をコンセプトとした居酒屋を事業の一つに加え、将来的には売上げ状況を見ながら多店舗展開も視野に入れてゆく考えだ。
場所は名鉄堀田駅のすぐ近く。このあたりは大型外食チェーンがポツポツと増えはじめてきた新興地域。すぐ近くではファミリー向けの大型の居酒屋が話題を集めている。
同店は六〇年以上前に建てられたブラザー工業の厚生施設である木造建築を利用。外観と内装は歴史的な風格を感じさせる店づくりとなっている。
岩城祐一店長は「グランピアットは洋食中心できたので和食分野に対してははっきり言って手探り状態。まだまだいろいろな試みをしながら、この一、二年で形を整えてゆく」計画だと話す。オープン当初のコンセプトと一〇ヵ月ほどたった今の考えとの違いをたずねた。当初は客層のターゲットをサラリーマンに、客単価は少し高めの三〇〇〇円~四〇〇〇円とした。
だが大きな特色である「七輪焼き」は年齢、客層ともに幅広く取り込めるとの判断のもと、土・日のファミリー層の掘り起こしのため、料理も主であったつまみを食事的な要素も加えていった。
ランチを一四アイテム(八八〇円~二五〇〇円)と充実させ、地域の女性グループへアピール。「子供連れでもどんどん来ていただき、ゆっくり過ごしていただけるよう工夫した」(岩城店長)。
同店は見た目に敷居が高いイメージがあるため、とにかく一回来店してもらい気楽に楽しめる店という認識をもってもらうことが先決だと話す。「売上げは結果論。大事なのは客数だ」と強調する。
メニューは新鮮な素材の炭火七輪焼きが主。人気は盛り合わせの七輪焼セット一八〇〇円(魚・野菜・練り物各二)と炭火焼セット一〇〇〇円(魚一、野菜二、練り物一)。
ほかに二人で食べるつきだしやサラダが付く満腹コース(三九八〇円、四四八〇円)などお値打ちセットやコースが目立つ。単品ものや地鶏を中心とした串焼きや多数のアイテムを充実させているが、客の九割以上が七輪焼きをオーダーするとか。
「人の問題が一番むずかしい」と話す岩城店長。テーブルをどこまで責任もって見れるか、客にどこまで対応できるか、を基準にアルバイトのランク分けをする。その平均レベルに自分の視点を定めて厳しすぎず甘すぎない指導をしようと心がけているそうだ。
「席に案内するときは特に気を配る。なぜこのお客さんがその席なのかと、たえず自問自答を繰り返す。この点だけはマニュアルにはしたくない」という。
月商一七〇〇万円~一八〇〇万円、年商目標は二億四〇〇〇万円。