いま有望業種のコントラクトフードサービス(集団給食)
最近、大型インテリジェントビルが大都市中心に建設されている。しかも、ほとんどが複合型業務ビルで、何数社が入居している。これらのビルの目玉として、共同の社員食堂を作り、それをコントラクトフードサービス(集団給食業者)業に委託するケースが多い。これらのビルは、昔の社員食堂のイメージを変えて、まるで高級レストランかと思われる設備となっている。コントラクトフードサービス業は、まだまだ市場性があり、有望な業種といえる。特に、企業が独自に運営している社員食堂は、人手不足、食材の調達など、いろいろ手間がかかり、コストが高くなってくるので、コントラクトフードサービス業者に委託するケースが多くなっているという。
社員食堂をもっている企業は全国的にまだ少ない。現在、二〇〇〇人以上の従業員がいる事業所は約二万社。そのうち社員食堂をもっている会社は一五%前後である。しかも、会社自体で運営しているところは、さらに少なく、大部分は専門業者に委託しているのが現実である。委託業者の大手はシダコーポレーション、グリーンハウス、魚国総本社、ウオクニなど五〇社前後ある。これらの企業は集団給食と呼ばれていたが、今日はコントラクトフードサービスということになっている。社員食堂の昼食メニューの価格帯は、五〇〇円が最高で、二五〇~三五〇円が中心メニューとなっている。その一方で年々、味も設備も豪華になっている。コントラクトフードサービス業者は問題点として、社員食堂を利用する人々、また、委託する企業について、つぎのような問題点を提起している。「社員食堂は、企業が補助金を出して安くおいしい食べ物を社員に提供する。このため、社員食堂の運営を委託されるコントラクトフードサービスに対して、食材の納入価格を低く抑える。昼食は安いのが当たり前と思っている社員、これでは、本当の意味で満足できる昼食ランチは出来ない」という。それにもかかわらず、食べる側は、いろいろ不満を述べるという。現在のコントラクトフードサービスでの昼食は、ぎりぎりの利益でやっているという。コントラクトフードの業者はさらにいう。「もし本当においしいものを食べたいというなら、社員食堂から出て、外に自分が食べたいものを食べにいった方が良い」という。このような背景の中で、一部の企業で、食堂の設備内容を一新して、高級レストランのような雰囲気で食べられる社員食堂もぼつぼつあらわれてきた。ランチ価格も、六〇〇円~七〇〇円と、平均より若干高くなっている。しかし、内容は、通常の店で食べれば一〇〇〇円以上というものである。そういう意味では、「安い、まず、雰囲気が悪い」といった三拍子揃った社員食堂市場に、レストラン的なサービスを提供する新しい給食施設を提案することは、ここ数年、コントラクトフードサービス(給食業界)業界のブームとなっている。