この1品が客を呼ぶ:「石焼どんぶりくるりん亭・大久保店」石焼タコ焼丼
石焼き料理といえば、焼き肉店の1メニューである石焼きビビンバがおなじみだが、ちまたではファストフード感覚で食べられる石焼きどんぶりの専門店が若い女性を中心に大ブレークしている。しかもビビンバに限らず、石焼きにマッチした創作メニューが豊富。中でも個性的な味が大好評の「石焼タコ焼丼」の魅力を探ってみた。
昨年の6月にニユートーキヨーがオープンした石焼きどんぶりの専門店「石焼どんぶりくるりん亭大久保店」。石焼きの定番ともいえるビビンバ丼をはじめ、石焼しゃけ明太丼、石焼牛丼、石焼ニラ玉丼などの創作メニューが並ぶ。
客席はわずか一九席。他のどんぶりチェーン店同様、カウンターだけのファストフード形式だが、客席の六割を近隣の学生やOLなどの女性が占めるという。
「店をオープンするにあたって、若い女性が気楽に入れる店を、というのが念頭にありました。家庭にはあまりない石の器を使い、クックステージでシズル感やライブ感が楽しめ、さらに自分でかき混ぜる参加型メニューというのが、女性の心をつかんだのでしょう」
そう語るのは、ニユートーキヨー新業態事業部の西山友朗さん。オープンにあたって、器となる石を調べに韓国に足を運んだり、調理長の槇康さんとともに、メニューの開発に精を出したという。
「メニューはビビンバをベースにしていますが、あまり韓国色を出したくはなかったんです。でもそればかりを意識すると、石焼きにマッチしなくなってしまいますから、メニュー開発には苦労しました。結局、ほとんどのお客様は一品しか注文しませんから、失敗が許されないんですよね」
構想一年半。石焼きの本場・韓国にヒントを得て、ようやくできあがったのが、あらゆる年代の客を魅了してやまない「石焼タコ焼丼」(五五〇円)だ。
溶いた卵にご飯を、そして魚介類などが入った秘伝のたれを加えてあえ、二七〇度Cに熱した石の器に入れる。熱が均等に伝わるようにかき混ぜて全体に盛りあがったところに、タコ、キムチ、削り節、アサツキ、マヨネーズ、さらに特製のソースをかける。客は運ばれたらすぐスプーンでかき混ぜ、熱いうちに食べる。
タコは下ゆでするなど、基本的にどのメニューもかき混ぜなくても食べられる食材を使用している。が、かき混ぜることによってよりいっそう風合いが増し、商品価値が上がるような食材を使ったメニューを考案したのだという。
大久保店に先駆け、平成11年の7月に渋谷にオープンしたくるりん亭だが、実はこのタコ焼丼は、渋谷店で期間限定メニューとして提供していたもの。しかし、メニューから外したとたん苦情が殺到した。そこで大久保店のオープンにあたり、定番メニューに設定したのだという。
石焼きメニューは一〇種類ほどだが、生卵やチーズ、明太子などのトッピングメニューもあり、自分なりにアレンジして食べる客も多い。かき混ぜて食べる楽しさに加え、一品五〇〇~五五〇円というリーズナブルな価格も手伝って、ランチタイムには満席にならない時がないというほどの盛況ぶりだ。
ところで、この大久保店がある大久保通りは、いわずと知れたどんぶり店のメッカ。牛丼や天丼、海鮮丼などの大手チェーン店が軒を連ねている。
「あえて、どんぶり店の激戦区で勝負してみたかったんです。ここで成功すればどこでもやれるという自信にもつながりますしね」
と西山さん。ここ大久保通りから、どんぶりの新たなムーブメントが生まれる日は、意外と近そうだ。
◆記者席からのコメント
たこ焼きというからには定番のソース味だろう、と勝手に思い描いていたが、「絶対に秘密」という秘伝のソースは、後を引くあっさりとした不思議な味だ。そしてプリプリとした食感のタコをはじめ、キムチやマヨネーズ、削り節におこげの香ばしさがマッチ。口に運んだとたん、新鮮な衝撃を受けた。
「これを加えるとまた違った味になりますよ」。そういわれてテーブルに置かれた刻み紅ショウガを混ぜてみると、独特の風味にさわやかさがプラスされ、ひと味違った味が楽しめた。いくらでも食べられそうな逸品だ。
◆こだわりの食材 にんべん「かつを削りぶしふわソフト」
「石焼タコ焼丼」の産みの親ともいえる槇康さんが絶賛するのが、この「ふわソフト」というカツオの削り節。トッピングに使用したのは、タコにマッチするのはもちろん、熱々のどんぶりにモヤモヤと動くという、見た目にも楽しめる演出を考えてのことだ。
「極薄切りで、えぐみがないのが特徴です。ご飯とまぜてもかたまることなく、すんなりなじむんですよ。本当にマイルドでデリケートです」
この削り節はタコ焼丼にしか使用しないが、ひと袋の三〇〇gをあっという間に使い切ってしまうという。
◆「石焼どんぶりくるりん亭大久保店」=東京都新宿区百人町二‐二一‐一、富屋ビル一階、03・3366・1561/席数・坪数=一八席・一四坪/営業時間=午前11時~午後11時、無休














