ヘルシーフレンチ738kcalのフルコース 「平成グルメ教室」一色保子さん
「成人病になったらレストランでフレンチのフルコースを味わうのは無理」と思い込んでいる人々に、料理人との協力で約七〇〇キロカロリーでおいしく、楽しく食べられる「平成グルメ教室」を提供した一色保子氏。定例化しすでに一〇年を迎え、地元での熱い支持を得ている同会について聞いてみた。
‐‐重いといわれるフレンチに新しいジャンルのフレンチを登場させたきっかけは。
フレンチは確かにカロリーが高い。フルコースでは二〇〇〇キロカロリー近くなり、成人の一日の所要カロリーと同じ。使う素材も高カロリー、高脂肪でビタミン、ミネラル、食物繊維が少なく、おいしい食事でありながら成人病をますます促進させる傾向にある。
一生病人食を続けなければという不安を抱く糖尿病、高脂血症の人からは、食事も楽しめないという声を常々聞いていた。それではこうした人ばかりでなく、より多くの人にこの料理を定着させようと「平成グルメ教室・おしゃれにヘルシー」を一〇年前発足させた。
‐‐具体的な取り組み法を。
知り合いのレストランの協力を得てのスタート。当初はなかなか大変だったが、バター、生クリームを極力使わない、野菜をたっぷり使った「顔はフランス料理、中身はフランス料理風の新しい料理を作ると思ってください」とシェフには納得してもらった。
‐‐調理法、食材など、どのような工夫をしたのか。
実際に食べて何回もディスカッションをした。当時あまり使っていなかったレンコン、刺身コンニャクなどをサラダ、付き合わせなどに。また湯葉をスープの浮き実にするなど食材の使い方に工夫をした。
ヘルシーなスープといえば、さっぱりとしたコンソメになりがちだが、ホウレンソウ、カリフラワー、玉ネギ、カボチャ、マッシュルームなど野菜をふんだんに使ってポタージュ風に仕上げた野菜スープは大人気。
魚は小さいのを二種にしたり、ハーブやアミガサタケなど珍しい食材を使い、食べる人に興味をもたせるようにした。
野菜も珍しい洋野菜を使い、ニンジンをたっぷり使ったサラダ。ルッコラは一〇年前は珍しく、花でもカスミ草を添えたり、器もワイングラスを使ったりの演出をした。
肉は和牛に比べ約八〇キロカロリーは低い輸入ものフィレを使ったり、カロリーの低い鹿肉も使った。調理法もローストするが、油を極く薄く塗るだけ。そのほか油を使わない真空調理も利用した。
パンは意外にカロリーが高く一四〇キロカロリー。二〇gくらいにし、目先を変えてごま、ハーブ、モロヘイヤなどを入れて焼く。
人気のデザートは、シャーベットに甘味料を使うとカロリーはゼロ。これを二~三種にムース、果物を添え、五~六種でわずかに八〇キロカロリー。魅力の低カロリーフルコースメニューは、トータルで七〇〇キロカロリー前後。価格もお手軽な六〇〇〇円の設定だ。
年一回秋に定例化している「平成グルメ教室」のキャッチは、「おしゃれにヘルシー」。当初の参加者は医師、看護婦、栄養士、患者がほとんどだったが、今は一般の人が三分の一を占め、定員約八〇人。
病院の医療食を離れ、あきらめていたフランス料理のフルコースが生演奏つきで楽しめると大変な反響を得ている。