地域繁盛店(熊本)ヘルシーメニュー編:四季彩
JR上熊本駅前にある「四季彩」。奥村誠基さん・明子さん夫婦が営む和食の店で、野菜メニューが中心だ。旬の野菜を使ったおかずは、栄養のバランスや味付けを考え、客を飽きさせないよう随所に工夫が懲らされている。
材料にも徹底的にこだわっている。有機栽培の野菜や有精卵、低温殺菌された牛乳、国産大豆を使った醤油、油は菜種油といった具合に、使用する材料はどれも体に良く、安全なものばかりだ。
食に気を使うようになったきっかけは、約二〇年前の長男の病気だった。食事にも病気の一因があると分かり、大きなショックを受けたという明子さん。食事を一から改善し、徐々に今の野菜中心の食事へと移行。今では長男もすっかり元気になり、家族五人風邪一つひかないという。
開店は平成元年。誠基さんは約一〇〇年続く老舗旅館の三代目だったが、開店を機に多目的に利用できるペンションとしてリニューアル。夫婦二人で店とペンションの両方を切り盛りする。
「せっかくペンションもあるので、宿泊もできる自然食の店として広く定着してくれたら」というのが希望だ。
◆四季彩(熊本県熊本市上熊本一‐一〇‐三七、電話096・352・1028)
◆ひと言 奥村明子店主
「店の売上げだけを考えていたら絶対に続かない。やはり『おいしかった』『また食べに来よう』とお客さんに喜んでもらえた時、お店をやっていて良かった、と心から思いますね」と奥村さん夫婦。
「今は、安くお腹が満たされればそれでいいや、という時代。添加物を多用した食事や偏った食生活は、じわりじわりと長い期間をかけて自分の体に返って来る。お店を通じて、もっと多くの人に食について真剣に考えてもらえたらうれしいですね」
◆愛用食材 有精卵100%マヨネーズ
大分県久住高原で放し飼いされている鶏の有精卵のみを使用。油は、オーストラリア産菜種種子を圧搾した一番絞りの菜種油とべにばな一番油、二種類の植物油脂をブレンド。このほかビート糖や自然塩など厳選素材で作られるマヨネーズは、クリーミーで風味まろやか。素材自体の味を引き立ててくれる名脇役だ。「すべての材料に気を使っているので、マヨネーズはその中の一つにすぎないんですよ」と誠基さん。
●(株)創健社/横浜市神奈川区片倉町七二四
◆四季彩セット(1000円)
ランチタイムで一番の人気メニューがこれ。メーンは、客の要望を取り入れ、豆腐や里芋のコロッケにソースをかけたりと洋風にアレンジされたもの。このほか、手作りの春巻きや薩摩揚げなどバラエティーに富んだ日替わりのおかず三品、サラダなどが付く。飲み物は、コーヒー、たんぽぽコーヒー、みかん生ジュース、アイスコーヒーの四種類から選択。「うちのたんぽぽコーヒーは、まろやかでおいしいと結構評判いいんですよ」
◆花ふぶき(1800円)
旅館時代の名残を残した、懐石風のメニュー。夜の宴会での注文も多い。紫芋のサラダや豆腐の揚げまんじゅうなど日替わりのおかずが六品並び、彩りにも気を配る。デザートは、店を始める前から子どものおやつに作っていたという豆腐やおからを使った自家製ケーキ。体にいいきび糖を使用、素材自体の甘みを生かした優しい味だ。コーヒーまたはミカン生ジュース付きで全一〇品。どのメニューも、ご飯は玄米と白米から選べる。